「DAYA」公演『PAZ-HARE-LA~小夜鳴き鳥のこえがする』観劇記 暗闇から光の中へ(上)

 

暗闇に浮かび上がる白いランウェイ。

BGMとシンプルな照明に合わせて全キャストのウォーキングでオンライン演劇『PAZ-HARÉ-LA(パサレラ)~小夜鳴き鳥のこえがする』は始まった。

去る2020年12月18、19日の両日、本来は観客を動員して上演される予定だったが、コロナの影響で映像化され、オンライン上演となり、鑑賞後のワークショップとともに開催された。

20代から70代まで、幅広い年齢層のプロジェクトメンバーによって、性暴力被害当事者の8つのエピソードが「生」の言葉で綴られていく。

 

 

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オープニングに続いてひとつめのエピソード『叫び』。

ひとりの女性が、ふらふらとランウェイに現れた。

足元が映る。裸足だ。

おぼつかない足どり。ほどなくばたりとランウェイの中ほどに倒れこむと同時に暗転。
大地が割け、地の底から湧き上がるような、聞いたことのない悲痛な叫び声が響いた。
胸に突き刺さり、えぐり取られるような苦痛を感じた。
彼女に何が起きたのか。
叫び声の中で私はその心身が受けた傷の深さと痛みと残酷さを一瞬にして共有していた。

上演前に、「苦しくなったら視聴を止めて、ゆっくりと深呼吸をしてください。無理をしないでください」と念入りに伝えられていたことの意味を確かめた。

ふたつめの『女子会』は女子大生3人。
お酒を飲みながら、他人のうわさ話をしている。おそらくバブルの頃の設定だろう。
噂話に始まって、これから男性とのデートに向かうというひとりの女性に向かって、他のふたりから、女の幸せとは何か、男性が好む女性について、世間の「こうあるべき」という言葉が並べられていく。
セクシーな服装、赤い口紅にハイヒール。イイ男をつかまえて結婚して子供を産むことが女の幸せ。
それらの言葉に合わせて、一人の女性が真っ赤なテープを巻き付けられてがんじがらめにされていく。
苦しい。私も同じ世代だ。だけど女の幸せってそれだけじゃないと思ってきたし、そのように生きてきたけれど、家庭でも社会に出てからも「こうあるべき」という圧力にいつもさらされてきたことを思い出す。
身動きができないくらいに世間体という名の赤いテープにぐるぐる巻きになった一人が舞台に取り残された。
そこからは彼女の独白。
デートに向かった先で酩酊したのちに性暴力の被害にあってしまった。
「なかったことにするべき?」
「なんでなかったことにしなくちゃいけないんだ!」
彼女は怒りとともに赤いテープを引き裂き、ハイヒールを脱ぎ棄て怒りとともに去っていく。

(うん!それでいいよ、怒っていいんだよ!)

そのあとに母親と思しき女性があらわれて、
「あの子ったら!今どきの子はもう。あの子のためなのに、もう!ほんとに~」と言いながら引き裂かれたテープを拾って、あたかも何もなかったかのように片づけて去っていった。

(ああー、こういうこと、いろんな場面で何度もあったなー)

※()の中は私の感想。以降も同じく。

こんなふうに冒頭から共感する言葉やシーンが続いてどんどん引き込まれていった。

 

下編につづく

 

 

 


〜執筆者プロフィール〜
稲垣美穂

女性の笑顔は家族の力の源。仕事や家庭でがんばる女性の心身のヘルスケアやストレスケアサポートと、安心して話せる場づくりに取り組む。WonderMIX主宰。セラピスト、講師(セルフケア・身体の使い方等)、イベント企画、ライター。元ダンサー兼ダンスインストラクター。
40代で結婚出産し、産後の不調や孤育て、介護、看取りを経験。

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