教えて!『無形資産』の築きかた VOL.4(下)

人生100年時代、貯蓄などの有形資産はもちろん、お金に換算できない、友人関係や知識、健康などの『無形資産』を今からコツコツと蓄えていきたい。そこで、『公務員』という生き方しながら、『無形資産』を蓄えている方からその秘訣を学びたい。渡辺あゆみさんにお話を伺いました。
「教えて!『無形資産』の築きかた」VOL4(上)の続きです。

 

-今の市民協働の部署で、仕事とプライベートをどのように意識されていますか。

確かに境界があいまいになりやすいですよね。基本的には仕事だと思っています。お祭りに参加して、おみこしを担いだりするのは、仕事でないかもしれませんけど(笑)。線の引き方はもやもやしているところはあります。日野市内にはいろんな方がいらっしゃいますので、一部の方たちとだけお付き合いするのではなく、立場をわきまえながらお付き合いをするようにしています。仕事ではない栗原市のほうがプライベートとして関わりやすいですね。

 

-今の市民協働の部署で自治会やNPO 支援はどのようなことされていますか。

地域協働課では、NPOなどの市民活動の支援、自治会などのコミュニティ支援、消費行政を担当しています。係長ですので、直接担当するよりも、予算管理やマネジメントをしています。ソーシャルキャピタルの醸成を目的として、地域で人の繋がりをつくる「地域懇談会」という、年間で800人くらいの市民の方が参加するワークショップには力を入れています。

日野市 地域懇談会
http://www.city.hino.lg.jp/kurashi/shiminkatsudo/kondan/index.html

 

-市民と行政の協働についてどのようなお考えですか。

一般的には、行政の足りない部分を市民活動が補うというイメージがあると思います。私は、市民活動は単なる行政の補完だとは思っていません。市民活動は公共の部分をどんどん押し広げて、新しい価値を創っていっています。行政ができることは限られているし、お互いの役割やルールを理解することが大事ですね。なんでも行政がやるよりも、あえて空白地を作っておいてもいいと思います。行政にしかできないことには注力したいです。行政の縦割りの壁で、市民の方がやりにくくなっているところは役に立ちたいと思いますが、なかなか悩ましい時もあります。

 

-石巻市の復興支援にも関わられていますよね。

石巻が大好きなんです。石巻市に派遣された時に若手職員と関わることが多かったんですが、その中に一人、印象深い職員がいました。震災の年に高卒で入庁した彼女は入庁してすぐ、寝袋を持って出勤するように言われたそうです。震災直後の大混乱のなか、パニックに陥った市民の方たちの罵声を浴びながらも一生懸命仕事をしていたんですよね。彼女は、震災後7年も経っているのに、入庁以来、研修を受けたことがないと言うんです。石巻にいられるのは1年間という限られた時間の中で何ができるかなと考えた時、人を残すことしかないって思ったんです。彼女にももっと勉強する機会やいろんなことを経験する機会をつくってあげれば、もっともっと力を発揮できるのになあと思いました。その経験から、これからは人を育てていきたいなあと思うようになりました。

 

-これまでの公務員のご経験で培った能力を教えてください。

フェアな関係でいろんな人と繋がれるネットワーク力ですかね。石巻でその力を磨かれたなあと思うんです。知り合いがゼロのところからスタートして、1年後は縁がすごく広がりました。2月3月の頃には、毎日新しい友達ができました。職場内や全国から来ている派遣職員だけではなく、ガソリンスタンドの方とか、漁師の方とか、レストランのオーナーさんとか、まちに出るといろんな人と繋がれました。今まではあまり必要とされていませんでしたが、これからの公務員は、いろんな会社とかいろんな人、いろんなものを繋いで作っていかないといけないんですよね。

 

-公務員後のキャリアのために準備していることってありますか。

結構、悩み始めてます。これからどうしていこうって、まさに40、50代の「まんなか世代」って考え始める時期ですよね。公務員の後半戦どうしようかなとか。両親みたいたな生き方もいいなあって思うんですけど、やっぱり自分は自分の生き方を考えないといけないと思います。複数の拠点を持つ人を「デュアラー」というのですかね、栗原だけでなく、2拠点、3拠点と関わりながら模索したいなあと考えています。

 

-今後チャレンジしたいことはありますか。

30代の頃はプライベートはいらないと、ワークライフバランスなく働いていました。40代になって、ライフの方を考えるようになりました。ライフで学んだことが仕事で活かせることも多いので、両方を楽しんでいきたいなあと思っています。
石巻から帰ってきてから、庁内で若手が勉強する機会として、「SIMひの研究会」を立ち上げました。熊本県庁職員有志の皆さんがつくった「SIMULATION熊本2030」というまちの経営を体験するゲームがあるのですが、それをもとにした日野版のゲームづくりやゲームの体験会を職員研修として実施、また、小平市・小金井市・多摩市の職員有志の皆さんと一緒に勉強会をしたり、ゲームの体験イベントを開催したりもしました。いろいろな方とつながりながら、学び合う場づくりをして、若手職員の育成をしていきたいです。

 

-公務員のこの先、一言をお願いします。

最近公務員を辞める人が多いんですよね。氷河期真っただ中だった私からすると、なんでかなと思うんですけど。公務員の仕事って地味だからでしょうか。縁の下の力持ちというか、舞台の表に出て目立つような機会は少ないと思います。私は両親から「公務員の使命感」を刷り込まれてきたので、公務員っていうだけで、人に役立つ大事な仕事をしているなと思うんですけど。社会に貢献していることにやりがいを感じて仕事をしてほしいなあと思いますし、自分もそうしていきたいです。

 

 

宇宙(そら)の無形資産帳簿
「親が公務員だから、公務員になった」というのはよくある話ですが、両親ともに、「地域に飛び出す公務員」の二世公務員に出逢ったのは、渡辺さんが初めてな気がします。両親から受け継いだ「公務員は人に役立つ良い仕事、使命感」という言葉を渡辺さんは何度も口にされていました。私は自分の子供に公務員の仕事のやりがいや大切さをきちんと伝えているかなあ。渡辺さんのご両親の公務員時代のお仕事や、子育て、そして、栗原市で始められた第二の人生についても興味がわいています。
渡辺さんは、石巻市の復興支援の派遣職員として一年間赴任しています。即戦力で、石巻の役に立つ人を行かせたいという理由で選ばれたそうです。地球環境学科卒という理系女子でありながら、市役所の幅広い職務に対して、どんな仕事でも極めていきたいと、全力で仕事に打ち込んできた姿勢を人事も見ていますよね。
相手に安心感を与える語り口で、日野市で、栗原市で、石巻市で、どんな場所でも人との縁をどんどん繋いでいかれる渡辺さん。これから、渡辺さんの周りでどんなことが始まるのかとても楽しみです。

 


〜執筆者プロフィール〜
上木 宇宙(うえき そら)
まんなか世代の公務員。
元気な100歳、『百寿者』を目指しています。
健康第一、85歳までは働き続けたい。
定年後、私ができる仕事はなんだろう?
人生100年時代、貯蓄などの有形資産はもちろん、お金に換算できない、友人関係や知識、健康などの『無形資産』を蓄えていきたい。
『公務員』という生き方をしながら、『無形資産』を蓄えている方にその秘訣をお聞きします。

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