まろんと行く散歩道vol.9

まろんと行く散歩道

私がまんなか世代になって、我が家にやって来た愛犬まろんと一緒に歩むコラムにどうぞお付き合いください。

~訛る(なまる)

 

私は転勤族の家に生まれ、結婚した夫も転勤族になった。
さいたま→東京→さいたま→宇都宮→秋田→仙台→鹿嶋→西宮→柏→佐賀→習志野→さいたまと、9県への引っ越しを経験してきた。

 

転勤や引っ越しは、もちろん大変。

 

まず荷物。家族が増えるたび物は増えるし、次の家にこの荷物が入るのか・・という不安を持ちたくなくて、要らないものは買わないし、捨てるようになった。

 

人間関係。今まで作り上げた「わたし」が、新しい土地では通用しない。「この人、どんな人?」は、あちらも一緒。だからまず苦手や弱みを前面に出すクセがついている。

 

楽しいようで苦労するのが「訛り」
小さな島国なのに、なぜこんなに違うのか・・と、どの土地に行っても毎回驚いてきた。

 

仙台でよく使っていた「いずい」(※1)
これは「たごまっていずい」などと使う。当然、他の土地で使うと聞き返された。
「ジャス」(※2)も通じなかった。

 

結婚して夫の実家、盛岡に遊びに行ったとき、こたつを囲んで親戚が楽しそうに談笑していたけれど、私には一言も聞き取れなかった。
愛想笑いをしていたら「ねっ、やすこさん」と言われ、初めて私のことを話していたと知った。

 

佐賀で、小学生だった長女が昼休みに掃除をしていた時、男子がほうきで遊んでいたので、「ちゃんと掃いてよ」と言ったら、男子たちが「おぇ~おぇ~」と吐くマネをしたと泣いて帰って来た。佐賀では「掃く」を「はわく」と言う。

 

数え上げたらきりがない方言の笑い話。
その土地にいる時は気づかないけれど、温かくて、すぐに「あの日」に戻れる。
私は、東北の友人と話すときは「んだね~」だし、佐賀の友人と話すときは、「〇〇やけん、〇〇せんばね~」
そして時々栃木の「〇〇け?」も現れたり。

 

人との別れは寂しいけれど、だからこそ「今ここ」をたっぷり楽しめるようにもなった。
そして、どの土地でも「これって標準語だと思っていた」という声を聞くことがある。

 

まんなか世代、長いこと生きてくると、変えられない事、変えるのが怖いこと、変えたらスッキリすることがある。
たまには違うことを始めてみると、思いがけない自分に出会えることもある。

 

さすがに夫が台湾に転勤になったときは、ついていかなかった。
その間に、我が家に来たのが愛犬まろんなのでした。

 

※1)いずい「しっくりこない」
袖がたごまっていずい「袖が肘のあたりに寄ってしまって気持ち悪い」という感じ。

※2)ジャス「ジャージ・体操着のこと」

(細田恭子)

シェアする