あんずの居場所探訪4号「親の看取りでの気づき」

-いつかは来る 親の看取り-

まんなか世代は、親や義理親の介護や看取りを考えなければいけない年代ですね。
なかなか親と看取りの話をするのはハードルが高いかもしれません。いざそのタイミングになると親の意志とは関係なく看取りや介護が進むことが多いと聞きます。いつか来る親の看取りで後悔しないための一助になれば幸いです。今回は、あんずの母の看取りのお話です。

 

-たった二週間の入院のはずが長期入院-

今年の一月に心臓の手術のため、二週間ぐらいの予定で母は入院しました。母は若い時に乳がんをしていたので、「死」というものがいつも身近にあったようです。今回も、遺言書を書いて入院しました。母の年齢も年齢なので、きちんと本人から意志を聞くことにしました。母も縁起悪いわね~と言いながらも、もう一度自分の意志を確認し伝えてくれました。なぜかそうしないといけない気がしたんですよね。
手術前に、手術着をきた母と家族で写真を撮りました。看護婦さんも「なんて明るい手術なんでしょう」 (笑)

 

-手術、からの容態急変-

コロナが世間を騒がす少し前に入院し、手術後の容態が芳しくなく、先の見えないままICUに三か月入院という事態になり、緊急事態宣言発令、病院も面会も5分、一日1人までという厳しい状態。小学校も休校、会社もまだまだ紙のために出勤が必要で、都内に出勤するために面会も気を遣う日々。
この時期はみなさんも苦しい時期でしたよね。
私も目の前はいつもグレーがかっていた毎日でした。
5月に入り、母の容態が急激によくなりました。コロナの数値と比例するように意識が戻り、食事もとれるようになってきました。霧が晴れたような日々でした。
しかし、6月末に病院からの電話でその希望は打ち砕かれました。
「心拍がとまりました」と。ずっと打ち消していた事実が目のまえにやってきた、そんな気持ちです。
先生からの説明で「エクモ(人工心肺装置)は止められない。このエクモが止まった時がご臨終です」

 

-エクモが止まるまでの三日間 その時間は気持ちの整理の時間-

奇跡は起きない。
母の体があるうちに自分の気持ちの整理をつけようと思いました。母が返事はしなくても、対話はできる。
骨になる前に感謝と思い出を語ろう。そんな三日間にしようと。
それから母の兄弟を呼び、母の友人を呼び、息子を呼び、みんなに話しかけてもらいました。
母が後悔しないように=自分が後悔しないように。
昼間はたくさんの人がお見舞いに来て、夜は妹と母三人で語り合いました。
父を30年前に亡くし、三人だけの小さな家族で日々を過ごしてきました。
その思い出を語るのは三日ではたりないけれど、コロナ禍では贅沢な時間かもしれない。
母の遺言書はお金の事ももちろん、家の事、葬式の要望、花祭壇にしたいとか、エンバーミング(消毒殺菌・防腐・修復・化粧をし生前のお姿に近づける技術)は不要、延命措置は不要、法名まで自分で用意し、家族への感謝の言葉を一人ひとり書いていました。
揉めることないようにすべて文面に起こされていました。
死を遠ざけることはできない。
ならば、残される人が自分の死で迷わないでいられるように伝えるほうが「愛」なのかもしれない。

 

-お葬式はその人そのもの-

三日後エクモは止まり、その四日後お葬式をしました。
母の遺言に沿う形でお葬式をしました。コロナ禍ではありますが、友人知人がたくさんいらしていただきました。
昔は権威の象徴でもあった「お葬式」もコロナ禍では、なんの意味もないことだと気づかされます。
母を思う人たちからの言葉や母とのつながりを聞くにつれ、母はいないけれど皆さんの中に母がいるのだと思います。そして母の人柄がその方を通じて伝わってきます。
お棺を閉じるときにみなさんが、「さようなら~ さようなら~ また会いましょう」と、なんと贅沢なことだろう。
お葬式はその人そのもの。

 

-看取りでの気づき-

今回は、しんみりしたお話になってしまいましたが、残された私が母の看取りで気づいたことは、
本当に好きなもの、好きなことに気づこうというシンプルなもの。
社交辞令など一つもない、母の好きな花、母の好きな鳥、母の好きな人たち。
これが母という存在なのだと。
私がこれまで信じていたものが本当に好きなものなのかどうか、もう一度感じ直して丁寧に生きていく。

ぜひ、みなさんも看取りについて一度お話してみるのもいいですね。

 

アイキャッチイラスト画像「遺し絵」制作 cocoaro遠藤ひろみ

 


聡美杏まんなかタイムス〜執筆者プロフィール〜
聡美 杏(さとみ あんず)
さいたま市在住、蠍座、O型、HSP、3人家族(小学生の息子)趣味は映画鑑賞(特にゾンビ映画は大好物)
旅先で必ず道を聞かれるという地元密着の得意技?をもつ丸顔です。一度見ただけで好きになってくれる率90%。その実態は、商社勤務しながら、劇団運営をしワークショップデザイナーと育休後カフェファリシテーターの顔を持つパツパツママ。小さい頃から生きづらさを感じ、心地よい居場所を探す旅を続けています。

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