教えて!『無形資産』の築きかた VOL.3(上)

47都道府県の自治体職員と中央省庁の若手官僚が定期的に集う「よんなな会」というコミュニティをご存じでしょうか。総務省の官僚で、現在は神奈川県庁に出向する脇雅昭さんの呼びかけで2010年にスタートしたそうです。よんなな会のFacebookグループ上で運営する、全国の公務員の情報共有の場「オンライン市役所」では、コロナ対策本部など喫緊の課題から、みんなの財政課などの30以上の部署が立ち上がっています。そのなかで、異色の「保健室」を立ち上げたのが、法務省の千田早苗さんです。公務員がちょっと愚痴を言ったり、弱音をはいたりできる「おはなし保健室」を定期的に開催しています。同じような経験や職歴がある公務員仲間から、そっと「わかる」って言ってもらえる温かい場所です。

人生100年時代、貯蓄などの有形資産はもちろん、お金に換算できない、友人関係や知識、健康などの『無形資産』を今からコツコツと蓄えていきたい。そこで、『公務員』という生き方をしながら、『無形資産』を蓄えている法務省の千田早苗さんにその秘訣をお聞きします。

 

よんなな会

http://47kai.com/

 

オンライン市役所

https://online-shiyakusyo.studio.design/

 

千田早苗さんプロフィール

法務省法務総合研究所研究部。検察庁出身。約25年刑事事件の捜査公判に携わり,研究職へ。
加害者の再犯防止・社会復帰支援と、犯罪被害者・遺族の保護支援、児童虐待への対応について検察改革のメンバーに推され、霞が関の最高検察庁で検察の刑事政策的な取組に関する制度の立ち上げを務めた。
NPO法人チダラボ理事長。民間の心理カウンセラー資格各種。


 

-オンライン市役所の「保健室」をどのような思いから立ち上げたのですか。

よんなな会に参加するような、頑張ってしまう公務員の方は、家族や友達に弱音を言うとか、ストレスを発散できる相手がいるのかなと気になっていました。頑張っている公務員を理解できるのは、同じく頑張っている公務員です。オンラインの距離間は、カウンセリングにはちょうど良いと気づいたんです。いろんな公務員が、日常でちょっと精神的に躓いた時に、保健室を利用してもらいたいです。

 

-保健室には、素敵なメンバーが集まっていますよね。

産業カウンセラー、キャリアコンサルタント、精神保健福祉士などの有資格者の人材が豊富ですし、自分の経験を共有できる人が多いのが保健室の強みです。メンバーは気持ちの温かい方ばかりで、打ち明け話をするのに最適な人材が集まっています。10人くらいでやれたらいいなと思っていたら、たちまち30人を超えました。

 

-保健室メンバーの相談者への言葉かけは本当に温かいですよね。

苦しいと思っていることをカミングアウトできることで、ひとつ肩の荷が下りるんですよね。みんながかけている言葉は、自分がかけてほしかった言葉なんです。過去の自分を励まし、肯定するというメンタルケアの場にもなっています。雑談しながらも、気づかれないようにカウンセリングのルートにのせることは、意識しています。

 

-保健室の運営で心がけていることはありますか。

保健室は参加の受け皿が広く、まったりと「いつでも開いているからね」という感じが良いところです。誰にでもあることですが、承認欲求が強いとか、コンプレックスが良くない方に出ている方にこそ、保健室に来て自分の良い部分を引き出されるようなセッションを受けてもらえるといいと思っています。保健室が、よんなな会内で認知され、何か困った時に来てもらえるような包容力ある存在になりたいですね。

 

-保健室に来るような方ってどんな方が多いですか。

何か躓くというのがきっかけだったりします。躓くことは、全然悪いことではありません。躓きがきっかけになって、自分を見つめ直す機会になりますし。躓いたり困ったりしなかったら、保健室に来てなかったなあと思う方もいますね。

最近、コロナや豪雨災害で亡くなる方や有名人の自死もありましたので、オンライン市役所内に保健室の存在を伝える号外を発行しました。社会不安があったときに、オンライン市役所内でこういう発信ができるのは、保健室の大きな役割かと思います。

 

「ほけんしつおたより」号外(添付PDFリンク)

 

-今後、保健室をどのように運営していきたいですか。

心理や精神保健に関する有資格者のコアメンバーとは、普通の公務員が職場の中で心地よくコミュニケーションができて、プライベートタイムにはリラックスできるようなスキルを伝達していきたいと話しています。

おはなし保健室などでの相談内容をデーターシートに蓄積してテキストにしたり、学会で発表もする予定です。この活動を一過性のものではなく、成果物として形にするようなアカデミックな目標を持っています。

 

中編に続く


〜執筆者プロフィール〜
上木 宇宙(うえき そら)
まんなか世代の公務員。
元気な100歳、『百寿者』を目指しています。
健康第一、85歳までは働き続けたい。
定年後、私ができる仕事はなんだろう?
人生100年時代、貯蓄などの有形資産はもちろん、お金に換算できない、友人関係や知識、健康などの『無形資産』を蓄えていきたい。
『公務員』という生き方をしながら、『無形資産』を蓄えている方にその秘訣をお聞きします。

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