食べたものでできている(4)もりそば

食べたものでできている(4)もりそば 円グラフ

(円グラフは文部科学省「食品成分データベース」より)

「人生100年時代」を生きるぱっとしない中年が、特になにもない日常に口にしているなんでもないものを書くコラム。バカだなあと思いながら読み飛ばしていただければ幸いです。

もりそばが好きです。それも名店などではなく、働く人の胃袋を日々ささえてくれるような回転の早い店のものが美味しいと思います。そばとねぎとわさびとつゆだけなので、人によっては物足りないのかもしれませんが(デザイナー遠藤は「おかずがほしい」と言っていた)、ネギの刻み方、わさびの香り、麺の味わいを楽しむのはやっぱりもりそば。

麺の味わいで重要なのはゆで加減です。初めて入るところで、一口食べてコシがないと凹みます。何度めかのお店でそういう目に遭うと、あてにしていた自分に気づきます。同時に店員さんが前と違うことにも気づきます。どんなにフランチャイズや機械化が進んでも、仕事は人がするものなんだなと思います。それでも、看板に望みをかけてもう一度だけ行ってみて、またもコシなしだとだいぶ凹みます。

そんな経緯でしばらく行かなくなったお店がありました。いつもシャキッとした麺を出してくれたあの店員さんは異動しちゃったのかなあなどと思いつつ足が遠退いていたのですが、あるときふと入ってみたら、足元から「おひさしぶりです」と声がかかりました。私があてにしていたシャキッとさんが、券売機の調整をしながら笑顔を向けてくれました。もりそばを頼みました。食べてみたらしっかりコシがあり美味でした。それからは店員さんを確認しながら通っています。あてになるってだいじなことです。(古川晶子

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