教えて!『無形資産』の築きかた VOL.2(上)

30代の時、一目置いていた公務員仲間が次々と役所を辞めました。その中のひとりが橘たかさんです。20年前、NPOと行政と協働の勉強会で出会いました。溌溂とした笑顔、鋭い発言、圧倒的な行動力は憧れの存在でした。勉強会のメインテーマだった「公共のあり方」への問題意識を糧に起業され、今もその道を邁進しています。このインタビューの連載を始めた時から、いつかは取材したかったまさに意中の方です。
まんなか世代の公務員である上木宇宙は、元気な100歳、『百寿者』を目指し、85歳まで働き続けるための準備をしています。人生100年時代、貯蓄などの有形資産はもちろん、お金に換算できない、友人関係や知識、健康などの『無形資産』を今からコツコツと蓄えていきたい。そこで、『公務員』という生き方をしながら、『無形資産』を蓄えた、元上尾市役所職員で市民参加専門のまちづくり会社の代表の橘たかさんにその秘訣をお聞きします。

 

橘たかさんプロフィール 
合同会社橘 代表
大学で都市計画を学んだ後、上尾市役所の都市計画課、自治振興課などにて市民参加の計画づくりや道路づくり、自治会やNPO支援などに携わる。
2010年にまちづくり会社の「合同会社橘」を設立。
同年より二子玉川商店街振興組合の外部理事として、商店街や周辺地域の安全安心まちづくり活動にも携わる。
現在、合同会社橘の代表として市民参加の計画づくりやワークショップ企画、市民参加型の商店街活性化計画の推進などを手がける傍ら、国士舘大学
の研究員として、交通安全まちづくりを支援したり、二子玉川発のクラフトビール「ふたこビール」を製造するふたこ麦麦公社の取締役として、ビールをき
っかけにした地域の場づくりを支援している。 
埼玉県内では演劇的手法を取り入れたまちづくりワークショップを実験的に実施。2006年秋にはピープルズシアター・リコリコを立ち上げ、都市計画、地
域の愛着づくり、女性向けなどのワークショップを企画運営している。
著書に『私のだいじな場所 公共施設の市民運営を考える』(共著・ハンズオン埼玉)など。

合同会社橘
http://www.tatibana.me/

ふたこビール 
https://futakobeer.com/

 

-今、どんなお仕事をされているのですか。

市民参加専門のまちづくりコンサルタント会社でまちづくりの仕事をしています。まちづくりに今まで興味がなかった人も参加したくなるような仕組みづくりをします。そのほか、クラフトビール「ふたこビール」の会社で取締役や国士館大学の特別研究員として交通安全まちづくりなどの研究室のお手伝いもしています。

 

-市民参加専門のまちづくりコンサルタント会社を、始めたきっかを教えてください。

市役所で都市計画マスタープランやNPO推進計画を市民参加で計画づくりをして、たくさんの市民の方にお会いしました。市民のみなさんと市役所は対立しているように見えるんだけれども、同じものを目指して、同じことを言っているような気がしていました。どのようにしたら上手くいくのか、両者の立場が分かるコーディネートをする翻訳者みたいな人がいないから、対立しているのかなって思っていました。市民の方も上手く参画できなかったり、参画するのが面倒だって思う方もいます。公務員にとっても、街のことを真剣に考え、本来は応援者になるような市民の方が敵みたいな構図になるのはすごくもったいないって思っていました。市民と市役所を繋ぐ、翻訳者がいないと気づいて、市民参加専門のまちづくり会社を始めました。

 

-「ふたこビール」と関わったきっかけを教えてください。

会社を立ち上げてすぐに二子玉川商店街にお世話になって、さらに町内会のお仕事をさせていただく機会もいただき、 二子玉川の街の人と出会う機会がたくさんありました。せっかくイベントでお会いしても、継続的に会える場がありませんでした。一方、6年前に商店街内のコミュニティスペースでの企画から生まれた「ふたこビール」をずっと応援していました。その「ふたこビール」がお店を作ることになりました。地元の人同士が店でたまたま隣の席になって、うっかり乾杯しちゃうような、美味しいビールとコーヒーが飲め、みんなが集い、出会って欲しい、そんなパブ=パブリックな場所を作りたいと聞いて、面白いと思いました。私はビールも好きだし、ずっと応援していたし。継続的に会える場を作ることになった「ふたこビール」にきちんと関わることになりました。

 

-去年の4月から大学の研究員をされているんですね。

交通安全のルールって、みんなが知っていることです。でも、自転車走行可ではない歩道を自転車で高速で走ったり、横断歩道で横断者が待っているのにクルマが止まらなかったり、守りきれてないじゃないですか。ルールを守り切れないのは、忙しいのもあるし、そもそも興味がない、つまり自分ごとになりきれていないからです。それを伝えるのってすごく難しいですよね。だからこそ興味のない人にうっかり興味を持ってもらうための取り組みはまちづくりとして面白いと思っていて、交通安全のまちづくりにはずっと関わってきました。そのご縁から、国士館大学の寺内義典先生に声をかけていただき、今は、大学の研究室で「交通まちづくり」のフィールドワークのお手伝いをしています。

 

-起業されるにあたって準備していたことはありますか。

公務員をしながら、休日には 他の自治会やNPO向けのワークショップをしていました。地元では、まちづくりの会や子どもの自然活動団体の事務局のお手伝いをしていました。公務員やNPOが参加する勉強会やNPO活動のサポートをすることにより人との繋がりが広がりました。そこで縁ができたのが一般社団法人地域連携プラットフォームの長岡素彦さんです。長岡さんがいなかったら独立できなかったですね。ライオンが崖から子どもを落とすがごとく、自治体や市民活動の主催するワークショップをご紹介いただき、何もわからない中、ゼロからワークショップを組み立てるという経験をいくつもさせてもらいました。

 

-そうだったんですね。

私は自分で企画する時は、全く同じワークショップってしないようにしているんです。ほかのところでやったワークショップと同じことをやってほしいと依頼されることもあります。そんな時は、先方に必ず「方法」ではなく「期待する成果や趣旨」を改めて聞き、その場に合った方法を提案します。ワークショップの一部だけ変えたいと依頼されたら、どういう理由で変えたいかをよく聞いて、相手の気持ちを理解したうえで、もう一度全部を組み変えたりもします。

 

中編につづく


〜執筆者プロフィール〜
上木 宇宙(うえき そら)
まんなか世代の公務員。
元気な100歳、『百寿者』を目指しています。
健康第一、85歳までは働き続けたい。
定年後、私ができる仕事はなんだろう?
人生100年時代、貯蓄などの有形資産はもちろん、お金に換算できない、友人関係や知識、健康などの『無形資産』を蓄えていきたい。
『公務員』という生き方をしながら、『無形資産』を蓄えている方にその秘訣をお聞きします。

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