まんなか世代の公務員が探す『この先』のヒントVOL.12 3/4

「公務員=リスク」という、もやもやした不安への向き合い方を学びたい。
そのヒントを求め、東京都小金井市役所の堤直規さんにお話を伺いました。
まんなか世代の公務員が探す『この先』のヒントVOL12 2/4の続きです。

 

-2012年1月から、ブログ「一歩先行く市役所職員となるための仕事術」を始められてますよね。

公務員としていい仕事をするにはテクニックがあると思い、ブログを始めました。僕は先輩に恵まれ、飲みニケーションでいろいろ教えていただいた最後の世代です。それがだんだん難しくなっているのを感じていました。公務員の建前の本はありますが、上から目線の書き方では伝わらないと思いました。佐々木常夫さんの「そうか、君は課長になったのか」という本のイメージでブログは書いています。最近は書き進める余力がなくて、お勧めの本の紹介ばかりですけれど。

 

-ブログの読者層はどんな方ですか。

一番人気があるのは昇進試験のコンテンツです。僕は世間で言われるほど、「若い人の昇任意欲がない」とは思っていません。みんな昇進については悩むんです。昇進するということがどういうことかを、ちゃんと語ってくれる上司が少ないのだと思っています。

自分がいいヒット打てたと喜ぶよりも、なんでもチームが勝ったと喜べればいいんだよ。課長になれば部下が万引きすれば処分されるんだからね。でも自分一人できない仕事がチームだとできる。担当者だと自分がいないと元に戻っちゃうけれど、係長、課長だと残せるものがある。それが楽しいと思えたら、マネジャーなんだよね。」と若い人にはいつも伝えています。

-キャリアコンサルタントの資格をお持ちですよね。

2018年10月に資格登録をして、12月に市長から「地方公務員向けのキャリアコンサルタント」で兼業の許可をいただきました。本を書いたことで、自分の経験だけで語ることのできない相談を受けることが多くなりました。公務員のキャリアについて本格的に勉強するために、大学院へ行こうかと思ったのですが、そんな時間もないし、学問以上に実践だと思っていたのでキャリアコンサルタントの資格を取得しました。

 

-周囲からのフィードバックを大事にされていますよね。

自分は仕事ができないほうです。すんなり高得点を取れる能力は残念ながら私にはありません。なので、気が付いたことは周囲に教えてもらうように意識をしています。新しい仕事をする時は秘密にならない範囲で、研究会のメンバーやOBにぶつけて意見を聞く場を作るようにしています。若い人には、僕がどう見えているのか教えてくれといつも伝えていて、率直に話してくれるようになりました。フィードバックは自分のために必要なことです。

 

-フィードバックを意識するようになった理由はありますか。

30歳で市役所に入ったので、同じ年の人は役所では8つ先輩になります。8年分の差を埋めるためにどうしようとかと考えていました。周囲にフィードバックを求めたり、地域の活動にも顔を出すようにしました。そのうち、地域で顔を覚えられ、活動を手伝うように言われて始めて、市役所内や地域でのネットワークが広がりました。

 

-印象に残っている仕事はありますか。

入庁して3部署目の企画課で、市制50周年記念事業を担当したことです。地域の若手と一緒に「黄金井11万人のキャンドルナイト」をしました。これまでにない新しい形のイベントを地域の方々と作り上げました。都立武蔵野公園の道沿いにキャンドル4000個を灯して、大切な人と見に行って同じ思いを感じてもらおうというイベントに1万人が集まりました。花火も屋台もない、こんな地味なイベントに多くの市民が参加してくれたこと、それを地域の輪で実現できたことは大きな経験でした。商工会の方々とも縁ができ、今でも続いています。市街地の中にある武蔵野公園の良さを市民が再発見する機会になりました。僕にとっては地域に繋がる初めての仕事です。

 

-どんなご縁が繋がっていますか。

12万人いる小金井市民の大多数は都心で働いています。都心で働いている面白い人は地域の団体には入っていないので、なかなか僕たちとは繋がりません。呼掛人10人が一人5人ずつ、その5人がさらに1人ずつと、面白い人をねずみ講式に声をかけたら、クリエイターとか100人を超える様々な面白い人が集まったんです。「小金井楽しい人の会」という会として、今の活動の土台になっています。

 

-今後チャレンジしたいことを教えてください。

60歳で市役所は辞めるつもりです。その年齢になると、20年近くマネージャーをやったことになります。実務では通用しないでしょう。60歳で役職定年したら、再任用職員としてプレイヤーに戻るのではなく、違う道を目指そうと思っています。自分のテーマを絞っていきたいと模索しています。でも、まだまだやりたいことがあります。60歳までは目いっぱい公務員として働き、生きようと思います。

「若い公務員のトランジション(転機)をいかに支えるか」に興味があります。何かできるかはまだまだこれからです。小金井を良くしていきたいということもこれからです。両方を追求しながら、そのバランスをシフトしていくと思っています。

 

→4/4につづく

 


〜執筆者プロフィール〜
上木 宇宙(うえき そら)
平日は、パッとしない公務員。土日は、「人生100年時代」の旅人。元気な100歳、『百寿者』を目指しています。まずは、健康第一。85歳までは、ほそぼそ働き続けたい。定年後、私ができる仕事は?人生100年時代、公務員の2大リスク「定年制」と「副業禁止」。その壁は壊さずに、なんとかよじ登ってみたい。登った先に、どんな景色が見えるのか?私の知らない景色を見ている、憧れの人生のセンパイたちを訪ねます。
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