まんなか世代の公務員が探す『この先』のヒントVOL.12 1/4

「公務員1年目の教科書」「公務員の『異動』の教科書」「公務員の『出世』の作法」「公務員ホンネの仕事術」と、公務員が気になるキャリアの節目をタイトルにした本の著者である堤直規さん。「公務員1年目の教科書」を職場の若手職員に勧めているとか、若手職員を育成する立場の方も読まれているなんて話もよく耳にします。私の憧れのサラリーマンと作家の2足の草鞋の楠木新さんと同じく、公務員でもあり、作家でもある堤さん。まさに、私の憧れ、どまんなかの方です。

「公務員=リスク」という、もやもやした不安への向き合い方を学びたい。

そのヒントを求め、東京都小金井市役所の堤直規さんにお話を伺いました。

 

堤直規さんプロフィール

東京都小金井市企画行財政部行政経営担当課長。キャリアコンサルタント(国家資格)。東京学芸大学教育実践総合センター(当時)の技術
補佐員(教育工学)を経て、2001年に小金井市役所に入所。行政管理課、保険年金課、企画政策課、納税課を経て、2016年4月から現職。
東京都市町村職員研修所「政策プレゼンテーション」研修内部講師。著書に「公務員1年目の教科書」「公務員の『出世』の作法」「公務員の
『異動』の教科書」「公務員ホンネの仕事術」がある。

ブログ「一歩先行く市役所職員となるための仕事術」
http://blog.livedoor.jp/nao_tsutsumi/

 

-前職ではどのような仕事をされていたのですか。

もともとは教員志望だったんです。大学院を留年していた時に、教授から勧められて東京学芸大学教育実践総合センター(当時)の非常勤職員として働き始めました。就職して1週間くらいで、センターのコンピューターで大きなトラブルがあってその解決のために頑張っていたら、気がついたらいつのまにかコンピューター担当になっていたんです。ITバブルの時代だったこともあり、副業でセンター以外のIT関係のプロジェクトにも携わり、IT関係のことは一通りできるようになりました。

 

-小金井市役所に転職したのはどうしてですか。

小金井市にある学芸大で働いていたので、地元の小金井市教育委員会とも仕事をしていました。当時一緒に子ども向けのキャンプの仕事をしていた指導主事から、「小金井市役所を受験してみたら」と勧められました。1次試験に受かってから、面接に向けて小金井市について本気で調べ始めました。財政やごみ問題などの課題があって、面白そうと思いました。いわゆる普通の公務員志望の人たちとちょっと違って、小金井市が面白そうだから受けたんです。

 

-課題が多いと面白いのですか。

課題が多いっていうのは「可能性が高い」ということです。小金井市は自転車で隅々まで行ける3~4kmの四方に12万人が住んでいます。当時の職員は約800人でみんな顔見知りなんです。小金井市を良くしたいとの思いで、私も仕事をしています。

 

-小金井市役所に入庁された時、おいくつですか。

入庁した時は29歳ですが、その7月には30歳になりました。私が受験した年だけ、一般受験の上限が30歳になったんです。就職氷河期で採用停止が続いた後、採用を再開したものの、新卒採用だけでは間に合わず、受験年齢の上限をたまたま上げた年だったんです。翌年からは経験者採用になりました。前職は非常勤で、正規の経験はなかったので、翌年だったらそもそも受験できませんでしたね。

 

-2016年から毎年、本を出版されていますね。

2012年から「多摩地域のK市の堤」でブログ「一歩先行く市役所職員となるための仕事術」を始めました。参加していた研究会の関係で、あるイベントが新聞に掲載された時に「小金井市役所の堤」という名前がでまして。僕のブログを見ていた編集者がその記事をたまたま見つけて連絡がきました。公務員向けの「1年目の教科書」を上から目線でなく書ける人を探していたそうです。当初、その企画は通らなかったのですが、編集者が50人くらいに僕の本のテストアンケートをしました。その評判がよく、会社のゴーサインがでました。

「公務員1年目の教科書」が少し売れたので、次の本の話になりました。「公務員の『1年目』も大事なんですけど、公務員は『異動』もポイントなんですよね。」という話を編集者とはしていました。職員団体の役員をしていた時に、異動の相談も受けていましたし。異動の話って人事の立場にいる人には書きにくいじゃないですか。

3冊目の「公務員の『出世』の作法」の企画は自分で出しました。公務員の節目は「引退」を除けば、「1年目、異動、出世」で完結と思っていました。

 

-4冊目の「公務員ホンネの仕事術」はそれまでの本とは別の出版社ですよね。

前の3冊がホワイトすぎるので、「ブラックの堤を出したい」と声をかけられました。ホワイトなのは嘘くさいと思うらしいです(笑)。建前でなく、本音の部分で若手が直面することを知りたいとも言われました。「公務員って何が大事かな」と考えると、人付き合いなんです。公務員は人を扱う仕事としては幅が広いにもかかわらず、「営業ができないから公務員になっている」というような人もいて、人付き合いがネックになりやすいんです。上司を含めて問題がある職場に配属されたときは、力を発揮するチャンスです。逆に財政課のような重要部署にいけばエース級の職員ばっかりですが、仕事量は膨大です。エースばかりの中での軋轢ってしんどいものがあります。体調を崩される方もいますし。そのあたりの話を編集者にしたところ、あまり聞いたことがなくて面白いということで本にすることになりました。

 

2/4につづく

 


〜執筆者プロフィール〜
上木 宇宙(うえき そら)
平日は、パッとしない公務員。土日は、「人生100年時代」の旅人。元気な100歳、『百寿者』を目指しています。まずは、健康第一。85歳までは、ほそぼそ働き続けたい。定年後、私ができる仕事は?人生100年時代、公務員の2大リスク「定年制」と「副業禁止」。その壁は壊さずに、なんとかよじ登ってみたい。登った先に、どんな景色が見えるのか?私の知らない景色を見ている、憧れの人生のセンパイたちを訪ねます。
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