教えて!『無形資産』の築きかた VOL.1(下)

『公務員』という生き方しながら、『無形資産』を蓄えている方からその秘訣を学びたい。
埼玉県立ふじみ野高校教員の岡部裕樹さんにお話を伺いました。

新シリーズ「教えて!『無形資産』の築きかた」VOL1(上)の続きです。

 

 

-高校の先生を目指したきっかけを教えてください。

芸能プロダクションで中高生のガールズグループのマネジャーをしていた時に、子どもたちがタレント活動は楽しくやっているのに、学校が面白くないと言うのを聞きました。「学校をもっと楽しくできるのではないか」と思いました。大学の時に塾の講師もしていたので、教えることにも興味はありました。義務教育である小中学校よりも、高校のほうが教師としての裁量が大きいイメージがあって高校の教員なりました。

 

-生徒との関わりで意識していることはありますか。

一人ひとりの生徒に対し、常に気にして、きめ細かいコミュニケーションをとるようにしています。今の暮らしがつらい生徒は、そのつらさが次の世代に繋がらないように食い止めたいと考えています。私との関わりがきっかけで、生徒の何かのアクセルになって、勉強して働いたり、残念ながらまだ学歴社会なので、勉強して学歴を上げたりしていくことで、生徒の生活が変わっていくきっかけにしてもらえるようにしたいと思っています。

 

-学校外での活動を始めたきっかけを教えてください。

教員になって3年目の頃、教員は視野が狭くなりがちだという危機感がありました。たまたま松下幸之助さんの本を読んで、松下政経塾のサマースクールを知り、泊りがけのイベントに参加して、いろんな方と出逢って、刺激を受けた経験が大きかったです。

 

-「ティーチャーズ・イニシアティブ」ではどんなことが学ばれたのですか。

埼玉県の事業として、ふじみ野高校が「探求学習」の指定校に採択されました。そのプログラムの説明会で「ティーチャーズ・イニシアティブ」というプログラムがあるのを知り、2年前に自費で参加しました。「先生こそが真に未来をつくることができる」という理念の下、教育の課題を構造的に考え、主体的・対話的で深い学びの場をデザインするためのスキルなどを学びます。先生が“知識を詰め込む指導者”ではなく、“主体性を引き出す支援者”にシフトすることを目指しています。私の期は、20代から50代まで、現役の教員だけでなく、教育関係者など幅広い方々が参加されていました。

 

-どんな気づきがありましたか。

高校なので生徒の進路はバラバラなんです。私が関わることで生徒の進路のきっかけになるような教育をしていきたいですね。「ティーチャーズ・イニシアティブ」の横の繋がりはありがたく、お互いにいろんなお手伝いをしています。教員は視野が狭くなりがちなので、幅広い繋がりは大事だなと思います。

 

-その後も繋がりはあるのですか。

「ティーチャーズ・イニシアティブ」の卒業生たちの学びを深め、ネットワークを活かすための「アルムナイ」があり、私はその事務局にも参加しています。ワークショップの企画や運営の準備のお手伝いをしています。「ティーチャーズ・イニシアティブ」には、沖縄から東京の講座に参加しているような熱量の高い方もいて、そういう方々と出逢えて良かったです。

 

-今後どんなチャレンジをしていきたいですか。

「教員とラジオパーソナリティ」みたいに、「教員と○○」みたいなのはしていきたいです。世界が広がるのは楽しいですし、その経験は教員の仕事にも返ってきます。資格を取得するのが趣味なんです。色彩コーディネーター、ドイツ語検定、小型船舶免許などの資格を持っています。ゆくゆくは気象予報士を取りたいですね。

 

-公務員のこの先へ、一言お願いします。

外の世界を知ることが大事だなと思います。いろんな方と出逢って、話をすることは自分の視野や世界を広げるために必要なことです。公務員は地域のことをやっていくので、自分の住んでいる地域のことを知ったり、ほかの地域と比べたりして、どんどん情報を集めていかないとですよね。

 


宇宙(そら)の無形資産帳簿
岡部さんは大学時代にラジオ業界での就職を希望していたそうです。その時は叶いませんでしたが、10年の月日を超え、コロナ禍でラジオのパーソナリティーを務めることになりました。芸能プロダクションでタレントのマネジャーをしていたという経歴も驚きました。そこでの子供たちとの出逢いが教師になったきっかけと知り、岡部さんの子どもたちに対する一貫した優しい眼差しを感じます。社会の教師としてまちづくりについて勉強できたらいいなと考え、「川越市外部評価人」に応募しています。お子さんができてパートナーが土曜日に仕事があるからという理由で、体育会の部活から生徒会の顧問になったそうです。「目の前の状況を前向きに捉え、行動する」という、軽やかな姿勢に共感します。「ティーチャーズ・イニシアティブ」で学んだ主体性を引き出す教育を、実践されていることが伝わってくるエピソードもたくさんお聞きすることができました。
教員として8年目となり、ますます教師としてのやりがいを感じている岡部さん。今後、管理職を目指すのか、一教師を貫くのかを選択されていくことと思います。私としては、人から学び続ける岡部さんが、「教師と○○」の○○にどんな言葉が入っていくのかのほうが気になります。

 

 


〜執筆者プロフィール〜
上木 宇宙(うえき そら)
まんなか世代の公務員。
元気な100歳、『百寿者』を目指しています。
健康第一、85歳までは働き続けたい。
定年後、私ができる仕事はなんだろう?
人生100年時代、貯蓄などの有形資産はもちろん、お金に換算できない、友人関係や知識、健康などの『無形資産』を蓄えていきたい。
『公務員』という生き方をしながら、『無形資産』を蓄えている方にその秘訣をお聞きします。

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