知りたい:感染防止「休業協力金」が出ない!?

知りたい:感染防止「休業協力金」が出ない!?

今月末までの延長が決まった「緊急事態宣言」。必然的に「外出自粛」「休業要請」も延長だ。個人には「休業補償」、起業や個人事業主には「休業協力金」が支給されるというが、NPOなど公益法人は。(古川晶子


私たちが日常の生活で利用する様々なモノやサービスの多くは企業により生産され、提供される。働く場も多くは企業だ。だから、新型コロナウイルス感染拡大で「休業要請」が始まったとき、真っ先に懸念されたのは働く人の収入保障、困窮する人のケア、そして働く場であるところの企業の事業継続だった。

仕組みを定めるまでの議論や、実際に取り組みはじめてからの出来事で、個人の保障やケアの仕組みの問題点は浮き彫りになった。また、事業者の困難も知られてきて、長年続いてきた小さい飲食店が廃業を決める様子などが報道されている。その一方で、まだあまり表面化していないが切実さでは同等かそれ以上、という困難がある。事業者を対象とする「休業協力金」を、NPOなどの公益法人が受けられないというのだ。

「休業協力金」は、名称等は自治体により様々だが、感染拡大防止に協力するため休業などで売り上げが落ちた事業者を想定した支援制度という点は共通。そして公益法人は対象外というのも共通だ。社会的事業について、寄付などではない自律的な事業継続の基盤づくりが求められるようになって久しく、飲食業や製造・販売などを手がける団体は少なくない。事業の趣旨や対象は公益や福祉の領域であっても、材料の仕入れや光熱費、家賃などを支払うのは企業と同じ、休業要請に従うのも、それによって売り上げが落ちるのも同じだ。

和光市のカフェ「大人の秘密基地アルコイリス」の運営は一般社団法人で、飲食のほか「哲学カフェ」や子ども向けの体験学習等、ユニークな学びの場づくりを実践してきたが、現在はすべて中止だ。店主・横田明菜さんは「埼玉県中小企業・個人事業主支援金、埼玉県業種別組合応援金」に期待した。4月8日から5月6日までに休業要請に応じ、7割以上休業した事業者に20万(複数事業所を持つ場合は30万)を給付するものだ。5月1日に詳細が発表され、申請要項をダウンロードするときに初めて、「以下のものは対象外」として、みなし大企業・社会福祉法人、医療法人、特定非営利活動法人(NPO)、一般社団法人・一般財団法人、公益社団法人・公益財団法人、学校法人、有限責任事業組合(LLP)が列挙されていることに気づいた。

横田さんは、自分達は「中小事業者に含まれると予想していたので、びっくりした」が、申請要項を確認したところ、前述の法人形態が対象外となる理由が記載なく、埼玉県に問い合わせてみた。この「応援金」は、中小企業基本法が定める該当事業者および個人事業主向けだという回答。重ねて「公益法人への補助金・給付金はあるのか、検討しているのか」と尋ねると、「現状はありません」という答えが返ってきた。

支援がないことを知った横田さんたちは「休めないというのが本音」という。店舗を維持するために飲食事業の主力をテイクアウト惣菜弁当に切り替えて営業を継続している。「幸いお客様に恵まれており、テイクアウトの売上で何とか事業を維持できる状態」というのは、これまでの事業で顧客とよい関係を築いてきたことが効を奏しているのだろう。しかし「今後を考えると非常に厳しい状況であることは変わりません。緊急事態宣言解除後もすぐにお客様は戻ってこないでしょうし、人を集める学びの場事業の再開は当面見込めません」と展望し「すぐに公益法人に対しても補償するための制度設計が必要です」と提言する。

阪神淡路の震災から「ボランティア元年」といわれた1995年以来、行政は「コミュニティビジネス推進」「市民と行政の協働」というかけ声で、地域住民による社会的事業を奨励するキャンペーンを張ってきた。事業は立ち上げがゴールではない。そこから山あり谷あり台風あり雪崩ありの幾歳月が始まる。そのときも伴走するのが煽った側の責任というものではないか。横田さんの「都合のいいときだけ、協働といい、本当に困っているときに行政が手を指しのべないとはどういう了見なのでしょうか」という憤りにうなずく公益法人の事業者は多いのでは。東京都では、当事者からの陳情を受けて公益法人を対象に含めることになったという。ほかの地域もこれにならってほしい。


【新型コロナ対応】NPO法人向け支援情報等まとめ(随時更新中)NPO法人シーズ

休業協力金(都道府県別)独立行政法人中小企業基盤整備機構J-net21

大人の秘密基地アルコイリス