知りたい:混乱と怒り「コロナ禍漫画」で記録する

知りたい:混乱と怒り「コロナ禍漫画」で記録する

(画像:ナガノハルさん)

「新型」と入力すると予測変換で「コロナ」と出てくるこの頃。生活様式や経済構造など、いまの社会がまるごと問われている感がある。ナガノハルさんはSNSで連載中の「コロナ禍漫画」で、この混乱と怒りを記録する。(古川晶子


今回の事態で、日本社会の人を支える力が、いかに弱いものであるかが露呈した。「外出自粛」「臨時休業」「臨時休校」は、雇用や家族などの生活基盤がもともと脆弱な状況にある人を直撃している。当事者にとって「働けない」「外に出られない」ことは生命の危険に直結する。

総務省統計局「労働力調査」によれば、平成元年(1989)非正規雇用者は労働者全体の約2割だったが、平成30年(2018)には倍の4割に近づいている。もはや非正規雇用は「家計の補助」「小遣い稼ぎ」ではなく、それによって生計を支えている人も少なくない。

DV加害者から避難している被害者の存在は「特別給付金」の問題で明らかになった。当事者が給付金を受け取れるようにする手続きが、各地の自治体で整えられているが、その最前線の対応をする相談員のほとんどが非正規雇用であることは報じられていない。この状況で、相談員は通常より多く出勤することになっているが、予算を越える賃金の支出や、感染した場合の補償などは考えられているのだろうか。

そのほかの問題により自宅にいられない人の状況も、メディアではあまり取り上げられていないが深刻だ。家族からの虐待を受けていて、学校やアルバイトが外の社会との繋がり、そして心身の健康を保つカギになっている子どもや若者にとって、この状況は生命の危機である。

そのような人が同じ社会の中に生きていることを考えたとき、私たちが発信すべきメッセージとはどんなものだろうか。SNSが発達し、誰もが情報発信できる環境だ。そこで大人として発信するならば「ウイルスは某国でつくられた」などのトンデモ情報でも我慢の美徳でも「一体感」の追認でもなく、いまの混乱を共有する記憶、風化させないための記録に繋がるようなものが必要だと思う。

『徒然日記「不安さんと私」』などの作品があるナガノハルさんが、SNSで連載中の「コロナ禍漫画」は、この状況下の政府の無策、働く人のやりきれなさ、生活者の不安や怒りを記録する。4月15日「戦い」に始まった連載は日々更新中。閉塞感が大きいなか、自分のことだけで精一杯になってしまいがちだが、それは分断への道、為政者の思う壺だ。時短勤務が決まったとき、決死の思いで「お給料はその分もらえないんですよね?」と切り出したナガノさんの震えを共に感じ、自分自信の震えや怒りとともに刻み込むことが、いまの私たちに必要なことでは。

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