知りたい:「外出自粛」で増加・深刻化するDV 内閣府「DV相談+(プラス)」開設

知りたい:新型コロナ対策「外出自粛」でDV増加・深刻化

(図表は令和2年4月内閣府男女共同参画局「DV相談体制の拡充」より)

新型コロナウイルス感染拡大が止まらない。「人との接触を避けよ」「外出自粛」が繰り返され、家にいてテレビをつければ感染者数増加や有名人発症のニュース。日常がかき乱されるなか、もともと緊張をはらむ家族関係は。(古川晶子


家族のかかわりは、その人が生まれた瞬間から始まり、生涯にわたって生き方や考え方に何らかの影響を与え続ける。誰かと生活をともにするということは、異なるかかわりの中に育ったどうしが、その違いを認めあいながら新たなかかわりを築いていくプロセスであり、価値観が多様化している現代の社会では、そのストレスは大きい。にもかかわらず、家族を維持することの重要性が強調され、あるいは維持できることが当然のように言われる「家族規範」が幅をきかせているのが日本の社会だ。

そのなかで女性は「心配り」「女性ならではの細やかさ」を求められ、うまく関係性を作る役割を担わされがちだ。しかし、相手が対等な関係でなく、対象を従わせ支配することを前提としている場合は、関係作りどころか生きることすら非常に苦しい状況になる。DV(ドメスティック・バイオレンス)は身体的なものだけでなく、精神的・経済的な攻撃や束縛もそれにあたる。

さいたま市内でDV被害女性のための「こころのケア講座」を運営する宇野慶子さん(蒼い空の会)は「DVをする夫は、妻の自分以外の人間関係を嫌います」と語る。「家庭の外で生き生きしている妻を喜べないのです。健全なパートナー間にある”自由”と”尊重/の要素は無く、相手を支配してよいと考え、その手段または強化のためにさまざまな暴力を使います」これがDV夫の理論と行動であり、本人はそれをまったく正当だと思っているという。平常時でも「実家への帰省に反対はせずとも、帰ってきてから一切口をきかないなどの精神的暴力を加え、結果妻は帰省後の辛く不安な日々を避けるために実家への足が遠のく」「友だちとの約束で出かけるまさにその時、用事を言いつけられてドタキャンせざるを得ない」などという状態だ(宇野さん)。

4/20から内閣府の「DV相談+(プラス)」がスタートした。「新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛、休業等が行われる中、DVの増加・深刻化が懸念されることから、緊急的に実施」という趣旨だ。行政のDV相談はこれまで電話のみでの対応が多かったが「DV相談+」はメールもチャットも利用できる。しかも多言語にも対応し、今日からは24時間通じるという。

宇野さんは、「”ステイホーム”と叫ばれている今は、家庭という繭の中に閉じ込められる状態です。さらに自宅勤務の夫、休校中の子どもも一緒で、本当に不安で緊張を強いられる、厳しい毎日だと思います。孤立感を深めて、ひとりぼっちだと感じている方もいるでしょう。今まではあったかもしれない、少しのホッとする時間もなくなり、僅かにあった人間関係も断ち切られて」しまう、と懸念する。

「DV相談+」は、そんな中で「平穏な時が長続きするよう、細心の注意を払って毎日を凌いで」いる女性にとって貴重な外との繋がりだ。電話ができる環境がなくても、SNSやチャットで24時間つながれる。宇野さんは「想いを受け止め、一緒に考える人がそばに」いる、と感じてほしいという。

相談を通じて「暴力のある生活を凌ぐ強さ」をもつ自分を支持する人がいると確認できることは、心の栄養補給になるのではないだろうか。間接的な支援ではあるが、必要な人に届いてほしいと切実に思う。

DV相談+(プラス)