みんなの総務部通信3号(上)

会社員の「副業禁止!」について考える

伝染病対策で、自宅待機の人が増えてきました。
大手企業ですと、自宅待機をしていても給料がもらえるようですが、中小企業やアルバイトの方だと、自宅待機分の給料が減額になってしまう方が多いようです。
会社の指示による休業なのにお給料が支給されないという不条理な問題は別の機会に検討するとして、減った給与を補填する機会として、副業について考えてみたいと思います。

給料が無くなるのなら自分で稼ごう
自宅待機で給料が無くなる。どうせ自宅待機で時間を持て余しているのだから、働いてお金を稼ごう!と考えるのは自然な流れだと思います。自宅待機でなくても、テレワークで往復の通勤時間が減ったのだから、その分を他の仕事に回そうと考える人もいるでしょう。
いわゆる、副業をしよう!となります。

副業禁止?
でも、よく聞くのが「うちの会社は副業禁止だから」という、会社員の嘆きです
日本の会社では、会社の規則で副業を禁止しているケースが多くなっています。
最近は、インターネットの普及で手軽に副業ができるようになったり、労働力不足を補うなどのため社員に魅力的な会社にするために、副業を認める会社が増えてきたりしています。

会社が副業禁止とする根拠
そもそも、なぜあなたの会社は副業禁止なのですか。
会社の規則で禁止されていると言うことですが、実際にその内容を確認したことはありますか?

就業規則や労働契約で禁止されているから
そもそも、なぜ副業ができないのでしょうか。
それは、多くの会社で、自社以外で働くことを「就業規則」や「労働契約」により禁止しているからです。

就業規則と労働契約とは?
そもそも、就業規則とは何でしょうか。
就業規則とは、働く人の権利を守る法律である「労働基準法」に、常時10人以上の労働者が勤務する事業所で制定しなければいけないと決められています。
就業規則に定めなければならない項目は、始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、就業時転換、賃金、退職などです。
また、労働者が10名以下で就業規則を定めなくてもいい会社は、労働契約により労働条件をきちんと明示する必要があります。
最近は、就業規則を定めている会社でも、賃金などの労働条件の明示は、個別の労働契約書を取り交わすように指導されているようです。

就業規則や労働契約より法律や憲法が優先するのだ
経験が多い会社の人事担当者も勘違いしているのですが、就業規則や労働契約の条件が法律や憲法を下回る場合は、その項目は無効で、法律や憲法の内容が優先します。
たとえば、就業規則に毎日の所定労働時間を10時間と定めたとしても、労働基準法では1日の労働時間は8時間以内とする規定なので、変形労働時間などの特別な勤務形態としていない限り、8時間以上の勤務は無効になります。

副業禁止の法的根拠
それでは、会社員の副業について、法的にはどんな決まりになっているのですようか。チェックしてみましょう。

労働基準法には規定なし
労働基準法には、副業に関する記述はどこにも出てきていません。
もちろん、就業規則に必要な記載内容でも、副業に関してはまったく定められていません。

憲法での職業に関する規定
ところで、会社が副業の禁止って、本当に問題ないんでしょうか。
そもそも、個人がどんな仕事をするのかは、日本国憲法により個人の自由意志が保証されています。
どんな職業を選ぶのかは、個人の自由意志であり、他人に制限されてはいけないのです。
もちろん、自分がなりたい仕事でも、入社試験に不合格になったり、せっかくついた仕事なのに成果が出ないでその職業を諦めざるを得なくなることはありますが、これは職業選択の自由が制限されているわけではありません。
私は過去に、実績のある派遣社員を正社員と迎える際に、派遣会社から「紹介料」を要求されたとき、憲法の職業選択の自由を理由に、支払いを拒否した実績があります。

下編につづく


~執筆者プロフィール~

加納 勉(みんなの総務部代表)
中小企業の総務部で27年間勤務。人事・防災対応・コンプライアンス・施設管理から、社内情報システム・情報セキュリティ・品質管理など、ありとあらゆる業務を、実務だけでなく仕組み構築やマネジメントを経験しました。わからないこと、困ったことは、とにかく何とかしますので、お気軽になんでもご相談ください。
趣味はアマチュア無線(電子書籍出版しました)、ジョギング、旅行。Jリーグ大宮アルディージャの熱烈サポーターです。
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