まんなか世代の公務員が探す『この先』のヒント Vol.9(上)

京都で生まれ、福岡で育ち、いま全国で広がりつつある「大人としゃべり場/トークフォークダンス」。輪になって交代しながら、子どもと大人がそれぞれ1分間、1対1で語り合う場です。大人も子どもも「人に話をじっくり聴いてもらえる」という体験は心地よく、元気がわいてきます。そんな語り合いの場を広げている、福岡県直方市の市民グループ「のおがた未来カフェ」の梅原達巳さん。梅原さんのファシリテーションの語り口に魅かれ、初のzoom インタビューに挑戦しました。

梅原達巳さんプロフィール

公益財団法人直方市青少年協会常務理事(直方市教育委員会文化施設担当参事)

自動車メーカー勤務を経て、直方市役所へ。入庁後は、生活保護担当8年、企画・情報担当4年、
都市計画(JR直方駅周辺整備)担当8年、秘書室3年、生活保護1年、2019年6月から現職。
市民グループの一員として、対話の場づくりのお手伝いをしている。地元では自治会活動や青少
年育成会の役員として地域行事に関わっている。

-「大人としゃべり場/トークフォークダンス」って、一言で説明するとなんでしょうね。

「大人が子どもたちとフラットな立場でお話ができる場です。」と伝えています。相手によって伝え方は変えているのですけど。大人の参加を呼びかけるときは「子どもたちのために協力してくれませんか。」とお願いします。実際には、「子どもたちに話を聞いてもらって嬉しかった。癒してもらった。」と大人は言って帰りますけどね。

-子どもたちにとって「大人としゃべり場/トークフォークダンス」って、なんでしょうね。

一度でも経験すると、知らない大人に対するハードル、いわゆる警戒心が下がるんじゃないかな。地元の方がたくさん参加されていると、身近な話をしてくださるので、その分ハードルの下がり具合が大きいと思います。 

-学校側にとってはどうでしょうか。

こんなに知らない人たちが学校に来てくれるのだとびっくりします。形だけは「地域に開かれた学校」と言うけれど、現実に開かれている場ってないです。「大人としゃべり場/トークフォークダンス」それ自体がまさに「地域に開かれた学校」というツールになっているのではないかな。

-直方第一中学校での「大人としゃべり場」は、どのようなきっかけで始まったのですか。

直方第一中学校のPTA会長や役員をされていた方が、直方市の男女共同参画の市民スタッフをしていました。その方たちが他地域でのコミュニティスクールの活動を知り、私たちたちの地元でやりたいねと。そこで、直方第一中学校の生徒会メンバーと保護者で、ワールド・カフェ方式で生徒会の目標づくりをすることになりましたが、そのやり方を知りませんでした。そこで、直方市役所の男女共同参画の担当者が、僕が個人としてファシリテーションを学んでいることを知っていたことから、ワールド・カフェのやり方を教えて欲しいとの話がありました。実施すると生徒と大人が一緒になって、中学校の未来を語り合い、対話の大切さを感じる機会となりました。そこで、メンバーが「もう一度中学校でやりたい。」と校長先生に相談したところ、校長先生が快諾してくださり、全校生徒240人が一斉に大人としゃべる場をトークフォークダンス方式でやることになりました。

-「大人としゃべり場」の魅力ってなんでしょう。

地域と学校の繋がりを作るツールだと思っています。このツールで、新しい地域と学校の距離感が生まれることの良さに気づいてくれる人がどんどん増えて、大人としゃべり場が広がっていくことが僕らの原動力です。僕らに頼まなくても自然発生的に広がってほしいと思って、大人としゃべり場のノウハウを伝えるブックレットを作りました。(一冊500円)

のおがた未来カフェFacebook
https://www.facebook.com/NFCafe/

-梅原さんがファシリテーションを学び始めたのはどうしてですか。

生活保護の仕事をしている時に介護保険制度が始まりました。制度がよく分からなかったので、病院や福祉関係者に声をかけ自主的な勉強会を始めました。会議の進め方を施行錯誤する中で、話し合いの手法である「ファシリテーション」に出会い、NPOの活動を通じてファシリテーションを学びました。

-地域活動で心がけていることはありますか。

地元のまちづくり活動でファシリテーターとして関わることは悩ましいです。地元では市の職員なので完全に中立の立場にはなりにくいですよね。やっぱり市の職員って、「365日市の職員」なんですここが県の職員や国の職員の方とは違います。寝ても覚めても「市役所の人」なんですよ。まちづくりのファシリテーターとしての活動は見る方のバイアスがあるので、どうしても行政のにおいが消えません。直方市役所は人口6万人弱、市の職員も300人くらいなので、首都圏の自治体とは市民の方との距離感が違います。首都圏の自治体では「市役所」に就職したというでしょうけど、地方では「市」に就職したようなものですから。

下編に続く


〜執筆者プロフィール〜
上木 宇宙(うえき そら)
平日は、パッとしない公務員。土日は、「人生100年時代」の旅人。元気な100歳、『百寿者』を目指しています。まずは、健康第一。85歳までは、ほそぼそ働き続けたい。定年後、私ができる仕事は?人生100年時代、公務員の2大リスク「定年制」と「副業禁止」。その壁は壊さずに、なんとかよじ登ってみたい。登った先に、どんな景色が見えるのか?私の知らない景色を見ている、憧れの人生のセンパイたちを訪ねます。
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