みんなの総務部通信2号(上)

働き方改革と感染症予防の決定打「テレワーク」の導入が日本で遅れている理由

テレワークってご存知でしょうか。
自宅でパソコンやタブレットなどで仕事をする、仕事のために通勤しなくてもいい働き方です。
仕事をする上で、国土の狭い日本では、通勤時間はとても大きな問題でした。
私が会社員の時は、毎日片道1時間30分かけて会社に通っていました。
さいたま市の地元の駅から会社の最寄り駅まで乗り換えはありませんでしたが、徒歩30分、電車で50分かかっていました。片道50分、往復で1時間40分の電車の乗車時間は、毎日だとすると結構身体に堪えます。
人身事故や混雑で電車が遅れたり台風などの自然災害で不通になったりすると、ぎゅうぎゅう詰めの電車の中で、1時間以上も立ったまま我慢しなければなりません。
こんなとき、会社行かないで仕事ができたらいいなあ、と思っていました。
私は効率的な働き方を検討し、かつ、情報システムを導入する立場でしたから、テレワークを導入したければ、簡単にできるはずでした。
しかし、実際にテレワークを導入しようと動いても、会社側の反対だけではなく、社員からも反対意見が出て、出張者が出張先で会社のメールを利用できるようにするのが精一杯で、仕事のファイルに社外からアクセスして仕事する、完全なテレワークを導入するまではできませんでした。

テレワークって何?

ところで、テレワークって、何のことかご存知でしょうか。
簡単にいえば、会社の外で会社の仕事をする方法を言います。
ただし、パソコンや電話をオフィスにいるのと同じように使えないと、テレワークとは言えません。
会社のサーバーに置いてあるファイルをチームで共有するとか、会社で使っているのと同じメールアドレスや電話番号が使えなければなりません。
まるで、会社にいるとの同じように、社外、例えば自宅や出張先、出先のカフェなどの仕事を言います。

テレワークのメリット
テレワークができれば、毎日通勤しなくても良いようになりますし、出先での待ち時間で暇を持て余さず仕事をできます。出先で用事終了後は、帰宅中や帰宅後に自宅で報告書を書けるので、移動という無駄な時間を大幅に減らせます。

東京オリンピックを控えテレワークが政府から推奨されている
今年は東京オリンピック・パラリンピックが開催されるので、開催期間中を中心に都内及びその周辺部は大変な混雑が予想されており、政府から大企業に対して、大会開催期間中のテレワークの導入が要請されています。
また新型インフルエンザが日本でも大流行の兆しを見せ、社員や会社の防衛のために、そもそも人が多く集まる場所へ出かけないようにするために、テレワークを導入する企業が多くなってきました。

 

笛ふけどテレワーク導入できず、日本企業の実情

通勤時間が削減でき、感染症予防にもなるテレワーク、なんか薔薇色のような気がします。
働き方改革という面もあります。
さぞかし多くの企業が導入を検討している、と思いきや、実はそうでもないんです。
会社には会社の、社員には社員の、テレワークを導入したがらない理由があります。

会社側の心配:管理職が部下が見えていないと心配
管理職の立場からすると、テレワークでは、社員が本当に仕事しているのかわからないと心配があります。
オフィスで仕事をしている限り、ちょっと目をやれば社員がいるので、仕事をしているかどうか簡単に確認できます。
古い考え方の上司には、部下が目の前で仕事してないで心配でたまらないと言う人も、まだまだいて、こう言う上司の場合、様々な理由をつけてはテレワーク導入を排除しようとします。
ただこれは、オフィスで働く人の話。外回りの営業の場合は、成果さえ上げていれば外で何をしててもいいと、言う考え方が主流です。営業は、テレワーク向けの職種というか、すでにテレワークと言っても過言ではありません。

会社側の心配:人事評価をし難い
目の前に社員が見えないと、上司はなかなか社員の人事評価がし難いようです。
社員一人ひとりの仕事の範囲が、ゆるい感じでしか区別がついていない日本は、社員の働き方をみていないと、その人の人事評価をし辛い状況です。
自分の仕事以外にも、他人の仕事をよく手伝っているとか、周りに対して気が利く、なども人事評価の項目になっていたりします。
そんな日本の会社の人事制度では、テレワークだけでは人事評価はできません。

会社側の心配:社員の働いている時間がわからない
テレワークで自宅で働いている場合、社員が勤務している時間が分かり辛いです。
自宅にいるわけですから、常に仕事ばかりをしているわけでなく、仕事の間に家事をしたくなるかも知れません。
テレワークで仕事する場合、会社のサーバーにアクセスすれば、サーバーにアクセスしている時間を会社で把握できるので、社員がパソコンで作業していた時間の把握はできます。しかし、パソコンにログオンしている時間が、仕事をしていた時間とは限りません。
本当は「月給」の正社員ですから、把握するのは仕事の成果だけで勤務時間は把握する必要はないんですが、最近は過労死の問題があるので、労働基準監督署は社員の勤務時間をきちんと把握するよう指導しています。会社は社員の勤務時間をきちんと把握する必要があります。
テレワークで仕事していると、夜中突然仕事のアイデアが閃いて仕事がしたくなったりしてどうしても仕事し過ぎな状態になってしまうので、会社は、今まで以上に仕事をしている時間を管理する必要が出てきます。

 

〈下編につづく〉

 


~執筆者プロフィール~

加納 勉(みんなの総務部代表)
中小企業の総務部で27年間勤務。人事・防災対応・コンプライアンス・施設管理から、社内情報システム・情報セキュリティ・品質管理など、ありとあらゆる業務を、実務だけでなく仕組み構築やマネジメントを経験しました。わからないこと、困ったことは、とにかく何とかしますので、お気軽になんでもご相談ください。
趣味はアマチュア無線(電子書籍出版しました)、ジョギング、旅行。Jリーグ大宮アルディージャの熱烈サポーターです。
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