知りたい:「性的同意」伝えるコンテンツ多数 もう「わからない」とは言わせない

知りたい:「性的同意」コンテンツ多数 もう「わからない」とは言わせない

たとえば、あなたが「お茶いかがですか?」と尋ねた相手の答えが「いえ、けっこうです」だったら? 誰かがお茶を出してくれたら、必ず飲まなければならない? (古川晶子


3月12日、名古屋高裁で多くの人が注目していた裁判の結果が明らかになった。実父が娘に中学生の頃から長年にわたって意に反する性交を強制していた事件で、父親に懲役10年が言い渡された。

この裁判が注目されたのは、一審で無罪判決が出たからだ。娘の意に反する性交であることを認めながらも「抗拒不能とは認められない」として出された判決には、全国から多くの声が上がり、フラワーデモ運動が始まる契機にもなった。

日本社会では、性被害に対して被害者の非を言う傾向がある。服装や言動、職業や年齢、学歴や家族構成、はては人格そのものまでも持ち出して、被害者が事件の原因であるかのように言う、あるいはほのめかすことは「セカンドレイプ」だ。被害者の尊厳を傷つける「セカンドレイプ」は、性別・年代を問わず誰もが加害者になり得る。

近年、この状況を打開しようと「性的同意」という考え方が提唱されている。性的な行動には相手の明確な同意を得ることが必須だというものだ。すなわち、明確な同意のない性的な行動はレイプであり性暴力である。現在までに、チェックリストを盛り込んだハンドブックや、紅茶をいれて相手にすすめる場面に例えた動画など、伝わりやすい工夫がこらされたコンテンツが世界各地で制作されている。

スウェーデンでは2018年にこの考え方にもとづく法改正が行われた。明確で積極的な同意がない性的な行動について、意に反するものだという訴えがあれば、夫婦間であろうとすべてレイプとされる。もちろん「露出の多い服装」「いやよいやよも好きのうち」などを持ち出して合意を主張するのは論外だろう。今年1月にはスウェーデン大使館の協力により、この法改正を知るセミナーが都内各地で開催された。

また今月はじめには、ジャーナリストの伊藤詩織さんがナレーションを担当したアニメーション動画「YesはYes NoはNo」が公開された。権力を背景とした性暴力とセカンドレイプの大きな被害に遇った伊藤さんの「あなたや、あなたの大切な人を守るためにも」というメッセージと共に、YouTubeで視聴できる。

性暴力は性差別に根差している。様々な事件の報道やルポルタージュから感じるのは、加害者は、被害者が声をあげないこと、あげたとしても社会は耳を傾けず自分の優位性は揺らがないことを前提に、犯行に及んでいるということだ。

しかし、スウェーデンの法改正を見てもわかるように、社会はそこにいる人々の力で変えていくことができる。性暴力が許されない犯罪であることが当たり前に認識されるのもその一環だ。これだけわかりやすいコンテンツが多数あり、どれも簡単にアクセスできる。もう「わからない」とは言えない状況だ。

実の娘に性的暴行 2審は逆転有罪 父に懲役10年判決 名古屋高裁(毎日新聞2020/03/12)

フラワーデモ

セクシュアル・コンセント(性的同意)ハンドブック(一般社団法人ちゃぶ台返し女子アクション)

Tea and Consent|紅茶に例えた動画(Blue Seat Studios)

スウェーデン性交同意法セミナー(スウェーデン大使館)

YesはYes NoはNo(Shiori Ito)