どまんなかvol.6 戸草内陽介さん&知代さんの生き方

生地を丸めて発酵させて・・・翌日のベーグル販売に備え、夜10時から出勤し準備することもあると聞いて、ますますベーグル屋さんを選んだ生き方をお聞きしたくなりました。私も大好きな【こむぎ〜BAGEL&COFFEE】戸草内陽介さん&知代さんの、二人三脚で楽しむ生き方をどまんなかに届けます。

戸草内陽介(トクサナイ ヨウスケ)1978年東京都生まれ。 戸草内知代(トクサナイ トモヨ)1980年埼玉県生まれ。 高校卒業後、自動車製造業(鋳物)で19年勤務。36歳で脱サラを決断し飲食業へ転身、パン職人で友人でもあるsatoさんの元でベーグル作りを修業し、2016年【こむぎ〜BAGEL&COFFEE】をOPEN。誰にでも美味しいと思ってもらえるベーグルをお出しします。常に夫婦で子育て論を熱く語り合い、人と人との繋がりと子育てや食育を大切にしたお店作りに奮闘中。

-現在の仕事で大切にしていることはなんでしょう?

陽介さん:美味しいものを作るのは当たり前ですが、自分が楽しむことを心がけています。自分が楽しくないと、顔にも味にも出ちゃうんです。お客さんに喜んでいただけると自分も楽しいですから、そのためにも美味しいベーグルを作りたいと思っています。

-今の生き方に至るきっかけを教えてください。

陽介さん:高校卒業後、自動車製造業に就職しました。そこで19年働きましたが、その間に何度かリストラがあり、肩たたきに合う人たちを見てきました。36歳の時、自分にもその波がやってきたので「チャンス!」と思い手を挙げました。
自分は出世欲が強かったんです。でも、がんばってもどうしようもない限界が見えた頃でした。力が抜け、目標を失ったような気がしました。もともとお店の経営に興味があり、違う事をしてみたい・・と思い、カミさんに退職を相談したんです。

知代さん:夫は、本当に仕事を頑張っていました。なので、やめると聞いた時は、寝耳に水!驚きましたし、やはり最初は反対しました。子どもが小2と3歳だったんです。これからお金がかかるときなのにって。私は安定志向。変わったことが起きると、すぐ不安になるタイプだったので、変化を恐れ、平凡が一番だと思っていました。でも次第に、安定を求めるだけがいいことではないかも・・と思い始めたんです。楽しそうかもって。怖い気持ちもあるけれど、楽しそう!を選んでみてもいいかなと。それに死ぬ間際に「お前のせいで夢を諦めた」って恨まれたくないなって(笑)

陽介さん:なんでおれが先に死ぬことになってるんだよ~

知代さん:夫の人生は夫の思うとおりに生きてほしい。そして私も私の人生を私らしく生きたい。お店をやろうと決心したのも、自分の人生を諦めて夫を優先したわけではなくて、「お店を、この人を応援したい」と自分が望んでいることに気づいたからです。

陽介さん:一年間無職で、失業保険をもらいながら起業の勉強をしました。高校からの友人のsatoさんが、自宅でパン教室を開いていたこともあり、彼女にパンの作り方を習いました。彼女のパンももちろん美味しいのですが、焼き立てのベーグルを食べた時、あまりにも美味しくて衝撃が走りました。「これまで食べたベーグルと全然違う!これをたくさんの人に食べてほしい!」と思いベーグル屋になることに決めました。

-難しいと感じていることはありますか?

陽介さん:天候に左右されることかな。でも天気が悪くてもお店に来てくださるお客さんがいらっしゃるんです。それが本当に有難くて。以前は、難しいと感じることもたくさんありました。でもそう思っているのは自分たちだと気づきました。イベントに出店するときは、夜10時頃から仕込みに入ります。人から見たら大変に思えるかもしれませんが、やりたいことが詰まっているので難しいと感じないのかもしれません。

知代さん:私は2年くらい前からノートを書くようになりました。日々、自分の感じたことを全て隠さず書いています。書くことで自分と向き合い、自分を知り、自分が大切にしたいことや本当の望みが明確になりました。「難しい」とか一見ネガティブな感情が湧いた時ほど、自分を知るチャンスと捉え、ノートに書いています。

-なぜその生き方を続けているのですか?

陽介さん:楽しいからです。やめようと思ったことももちろん何度もありました。でも続けているのは「やりたいから」なんだと思います。

-ご自身が10代20代の頃、50代の方はどんなイメージでしたか?

陽介さん:年寄り・・っていうイメージでした。人生の終わりという感覚。
知代さん:おとな。迷う事もない、すべてをわかっている人かな。

-今、ご自分がその世代に近づいてみて、いかがですか?

陽介さん:若造だなと思います。親しくさせていただいている方たちは50代の方が多いんですが、まだまだ追い付けないなと感じるんです。

知代さん:すごく迷うし、悩むし、わからないこともいっぱいです

-まんなか世代として気になることやメッセージをお願いします。

知代さん:子どもたちに伝えていることなんですが、自分の気持ちに向き合って、大切にしてほしいと思っています。ポジティブな気持ちは良くて、ネガティブはダメ・・ではなく、すべての気持ちを許して感じてほしい。そして「どうしてそう感じたんだろう?」と自分に聞いて、自分を知っていってほしいと思います。それが自分を大切にすることにつながると思うから。私も今まではネガティブなことを何とか避けようとしていましたが、今は全部ひっくるめて「私の幸せな人生」と思っています。

陽介さん:子育てからいろいろ学んで、自分の生き方が変わりました。力にもなっているし、子どもたちを尊敬しています。店を開いて4年め。行動がすべてなんですよね。言ってるだけではだれにも気づいてもらえません。こちらが動き出すと、まわりが見ていてくれることに気がつきました。それは、夫婦も友人も一緒なのかもしれません。


編集長の一言

すべてに真剣に向き合うお二人。ほぼ毎日一緒にいることで、最初は喧嘩もたくさんしたそうですが、何があっても動じない夫と、常にアンテナが動いている妻、お二人のバランスが絶妙でした。お話を伺ったあとに食べたベーグルの味は、今まで以上に優しくて深いお味でした。

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