知りたい:さいたまを「対話」ができるまちに!「若者ファシリテーター」を育てる取り組み

さいたまを「対話」ができるまちにしたい!「若者ファシリテーター」を育てる取り組み

人間は「社会的な動物」といわれる。それぞれの社会で、構成メンバーは互いにコミュニケーションをとり、協力しあうことで、単独ではなし得ない様々なことを実現してきた。その過程で非常に重要な「対話」を進行する「若者ファシリテーター」を育てる取り組みが、現在、さいたまで進んでいる。(古川晶子


「対話」とは、対等な立場で行い、信頼関係を築く話し合いである。何かに取り組む際、関係者には、初めて顔をあわせる、利害が一致しない、など、いろいろな状況がある。対等な立場でお互いの望みや背景を知り、共有できることやできないことを尊重しながら理解するのが「対話」であり、日常会話や「飲みニケーション」だけでは難しい。ファシリテーターは「対話」をすすめる役割を担う人。活躍の場は行政の諮問機関や、官民連携の場、複数の事業者がコラボレーションするプロジェクトなどである。

さいたまでは、2018年度から、若者にファシリテーション(ファシリテーターの技術)を学ぶ機会を提供する取り組みが始まり、現在、2年度目が進行中だ。1年度目は「高校生ファシリテーター養成講座」、2年度目は「学生と学び合う、ファシリテーション講座」という名称だが、基本的な構成と目指すところはほぼ同じ。いずれも市民団体が主体で、さいたま市役所との共催により実施されている。

「さいたまには”対話”が足りないと思います」と語るのは、取り組みの立ち上げからかかわっている福島まり子さん。長年、生協や消費者団体などで活動し、現在はさいたま市で環境関連など複数の諮問機関で委員をつとめる。

さいたまでは2015年秋に、市民活動サポートセンターの運営について、市議会で短期間に条例改正が決まり、「市民と行政による協働管理運営」から、行政の直営に変更されるという出来事があった。同センターには準備段階の「整備検討委員会」で委員をつとめるなどのかかわりがあり、愛着を持っていた福島さんは、この経緯に心を痛めた。なかでも、事態を受けて開かれた集会であがる声が「行政はけしからん」というものに偏りがちで、怒りと失望を表明することはできても、問題解決にはまったく有効でなく、非常に残念だったという。

ときを同じくして、福島さんはあるイベントで「市民との”対話”による協働のまちづくり」という事例に出会う。静岡県牧之原市では、2年をかけて「市民ファシリテーター」37名を養成し、地域の課題や防災などを話し合う場で、参加者みんなが参加する実感を持てるような場作りと進行を任せているという。コンサルタントなど外部の専門家に依頼するのではなく、市民が主体的に会議を運営し、質の高い「対話」の場をつくっていくことにこだわった取り組みだ。これを知った福島さんの胸に、「さいたまでも実践できたら」という思いが沸き上がった。

その後、福島さんは牧之原を訪れて、市民ファシリテーターの方々や、養成にかかわってこられた専門家とつながるなど準備をすすめ、2018年にさいたまで取り組みをスタートした。現在、2年度目が進行中で、参加者の学生たちの新鮮な反応や毎回の成長に手応えを感じている。

また、スタッフやボランティアとしてかかわってくれる大人のネットワークが生まれている。様々な領域で仕事や市民活動に携わる、ゆるやかなつながりの場で、今後、市民ファシリテーターとして経験を積む若者たちのプラットフォームにしたいと思っている。福島さんはネットワークの繋ぎ目の役割をつとめながら、養成講座を運営していく意向だ。業務量の多さにもかかわらず完全なボランティアだが、未来に向かう取り組みなのでずっと携わっていきたいという。そこには、さいたまがまた何かで変化に見舞われたとき、実りある「対話」ができるまちであってほしいという、切なる願いがある。


学生と学び合う、ファシリテーション講座(特設サイト)

対話による協働のまちづくり(牧之原市公式サイト)

さいたま市市民活動サポートセンター条例改正問題(さいたまNPOセンター)