どまんなかvol.3 木村輝夫さんの生き方

手作りのバックやアクセサリーが並ぶ店内は、ワークショップに参加する女性や、食事とおしゃべりを楽しむ方たちの声が響いています。「カフェ経営」という新しい世界に飛び込むきっかけは何だったのか・・まんなか世代のちょっと先を行く先輩、木村輝夫さんの生き方を、どまんなかに届けます。

木村輝夫 (キムラ・テルオ) 1946年、埼玉県さいたま市出身。レジャースポーツ業界で20年勤務後、39歳で新天地へ。 2011年より、さいたま市東大宮にて、ギャラリー(手作り品)&カフェ「ぷらっとカフェ」を経営。それまで培ったノウハウで、「いつ誰が来ても安心な場所」を提供する。 趣味は読書・ゴルフ

-現在の活動で大切にしていることはなんでしょう?

東大宮駅西口から徒歩1分のところにある「ぷらっとカフェ」のオープンは2011年3月3日。

東日本大震災の8日前でした。大変な時ではありましたがお店は閉めず、とにかく「プラットホーム」であり続けることにしたんです。

遠慮せず、思い出した時に「ぷらっと」遊びに来てほしい。そんな想いも込めてこの店名に決めました。
「いつ来ても、誰が来ても安心な場所」であるために、なによりも大切にしているのは、ご縁ですね。
母が、昔から家に来るお客さんを笑顔で迎えていたんです。その姿を見て、ご縁やつながりを大切にすることを学びました。

-今の生き方に至るきっかけを教えてください。

生まれはさいたま市のどまんなか。子どもの頃は近所の友人と、野球をしたりメンコで遊んだりしていました。

就職したのは、レジャースポーツや映画など娯楽施設の運営会社。映画館やゴルフ場、ボーリング場などの様々なイベントの企画を手掛けていました。とにかく休みがなかったんです。
みんな真面目に、正月もお盆もなく働いていた時代でした。
そんな中、「このままで・・?」という思いを持ったきっかけがあります。
ある年の元旦のことです。

その前日の大晦日も夜遅くまで仕事をしていました。朝、自分は仕事に行くため駅に向かっていました。すると氷川神社への初詣のために、駅の階段を反対方向から下りてくる大勢の人たちの流れに会ったんです。「このままでいいのか・・?」という思いを持ち始めた瞬間でした。同じころ、大切に育ててくださった社長が亡くなったことも重なり、39歳のとき退職しました。

その後ご縁で保険会社に再就職し、資格を取って個人事務所を設立しました。さらに成り行きで不動産経営。そしてこのお店の前身であるHandMadeの店をオープンしました。お客さんに気負わずに来てほしいという気持ちで店内を飾ることを思いつきましたが、それもイベント会社で培ったノウハウがあったからできたことだったんです。
このカフェも、姪の友人の絵の展示会を開催したことから、手作り品の展示につながります。

みんなバタバタと急いでいる世の中だからこそ、コーヒーを飲みながらゆっくり過ごしてほしいと思ったんです。

 -難しいと感じていることありますか?

「続けること」です。ここは企業経営のカフェでなく個人経営のカフェなので、スタッフや楽しみに来てくださるカルチャー教室等のお客様への責任もあり、「やめること」の決断がしづらいのです。
でも、良い意味でしがらみがあるからこそ、お客様からの「美味しかった」の一言で、明日もがんばろうと思って続けてこられたのかもしれません。

-なぜその生き方を続けているのですか?

じつは「ヘイ、マスター!」というのがキライじゃないんです(笑)

本当は自分でコーヒーを焙煎して、カウンター越しにお客様とゆっくり話しながら過ごすお店にしたかったんです。

その点、今のお店は大き過ぎるので、カルチャー教室を開いたり、ギャラリーを作って展示会を開催しています。何か変化がないと、お客さんから忘れられてしまうんですよね。
「行事やイベントを組み立てる」ことは、これまでの経験が生きています。

-ご自身が10代20代の頃、50代の方はどんなイメージでしたか?

「おとな」というイメージです。“叱ってくれる人”であり、“生き方の手本を見せてくれる人”でした。昔の人は鷹揚だったので、ゆっくり話を聞いてくれて、ゆったりと導いてくれたような気がします。だから自分も大人になったら、ゆっくり行こうという気持ちがありました。

-今、ご自分がその世代になってみて、いかがですか?

まだ道半ばです。人には優しくできてるかな。だからダメなのかな~(汗)もっと厳しくしないと・・経営者としては大失格ですよ。どうしても利益より理想を追い求めてしまってね。本当に難しいですね。

-まんなか世代として気になることや後輩に伝えたいことはありますか?

気になっているのは、急ぎ過ぎる世の中です。すぐ攻撃したり責めたり・・。

まんなか世代こそ、「今」だけではなく、将来的なビジョンを描くことを大切にしてほしいですね。用意周到にしていても何か問題が起きます。その時自由に動けるようにしておくのが責任者です。

何をやるにも準備をしっかりすること。その一つ一つの積み重ねを必ず誰かが見ていてくれています。私もそんなご縁を大切にしてきたからこそ、偶然ではなくたくさんの必然が起きてきたんです。


編集長の一言
とてもオシャレな木村さん。体力作りはお店の階段を上り下りすることと、スパでさっぱり汗を流すことだそうです。「縁を粗末にしなければ、助けられてピンチをチャンスに変えることもできる」まんなか世代が次世代に伝えていける重みのある言葉でした。