Vol.16泉 真帆さん|株式会社テラス木蓮 代表取締役

泉真帆さんは、「小庭カフェ」というスペースづくりを提唱するガーデンデザイナーです。また、ナチュラルガーデンのコツを学べるワークショップや、親子向け体験型プログラム「てらこやラボ」も運営なさっています。多方面にわたる行動のパワーは、どこから湧いてくるのか?知りたくてお話をうかがいました。

–ガーデンデザイナーというのは、どんなお仕事ですか?
同じ肩書きでも業務の範囲は人によって異なりますが、私の場合は、お庭の設計、工事の手配、完成までの監督などを行います。たとえば、ホームページからのお問合せを受けて、お宅にうかがい、実際のスペースを見せていただきながらのご相談にすすみ、デザインのご提案を経て、工事に入ります。広いお庭にも、車庫脇やマンションや小さいスペースにも対応しています。お庭づくりといえる規模のご依頼は年間三十数件、そのほか、お手入れの手伝いなど、小さなことにも対応しています。都市部にあっても自然を感じられるような、なごみのスペースをつくるのが得意で、お庭のほか、ハーブの家庭菜園づくりなども請け負っています。

問合せをいただくのは、比較的若い年代の主婦の方が多いです。男性の業者が多い世界なので、女性であることが利点といえるかもしれません。また、一緒に工事に入る男性の職人さんたちが柔軟で明るいキャラクターなので、女性のお客様にも安心していただけます。

–女性の少ない業界なのですね。どういう経緯で入られましたか?
出身地の宮崎県で高校まで過ごし、当たり前のように自然に囲まれた環境で育ちました。自然の中でたくさん遊べたことで、間違ったり失敗したりすることを経て問題を解決する、という経験ができたと思っています。だんだん環境問題に関心を持つようになり、大学では地球惑星科学という学問を専攻し、地質学のフィールドワーク、シミュレーションを使った物性科学などを体験しました。その後、システムエンジニアとして2年勤めたのですが、生活パターンなどに無理を感じて退職しました。そこで自分が本当に何をしたいのかあらためて問い直し、都市生活の中で自然にふれられる環境をつくる仕事として、ガーデンデザインをやっていこうと考えました。情報収集をして、考え方などに共感をもてるスクールを見つけて学び、造園建築工務店でガーデンデザイナーの仕事に就きました。

–自分自身と向き合って見つけた「天職」ですね
そう思って勤めたんですが・・・2年半ほどして、妊娠を機に、いったん離れました。この仕事は、時間が不規則ですし、小規模企業だと制度がまだ整備されていないこともあり、子育てしながら勤めるのは難しいことが多いですね。それでも、勤めることでいろいろ経験できたので、それを活かして、また新しいスタートに向けて、わりと前向きな気持ちでした。

–退職された後、ガーデンデザイナーとして独立なさったのですね。
長女が1歳くらいのとき、知人のマンションの専用庭と、ベランダのスペースを任せていただいたのが始まりです。週1回程度の稼働でしたが、同時にシステムエンジニアのパート仕事を見つけ、両方を並行して、一時保育を利用しながら週2~3日は働くことになりました。その後、庭づくりのお仕事を少しずつ増やしていき、長女が3歳の時、保育園に入れ、SEはやめて現在のような体制になりました。

–お庭づくりのほか、ワークショップも主催なさっていますね。
本格的なお庭づくりを考える前段階として、身近なところで自分らしく自然に触れられる空間を作るための、工夫や知恵をお伝えする活動です。たとえば、「ナチュラルガーデニング講座+ミニワーク」は、実際のお庭や小さいスペースで施工した写真でビフォー&アフターを見ながら、具体的にコツを知ることができます。ミニワークでは、好きなお庭の写真を選んで組み合わせ、作ってみたいお庭のイメージを形にします。

–「てらこやラボ」はどのような取り組みですか?
子どもたちが大人と一緒に取り組める体験型プログラムです。参加しやすい休日からはじめましたが、「小学生の放課後」活動を目指しています。2012年に親子向けのワークショップを始めました。内容は、野菜とお花の寄せ植えや、アート、お料理、英語体験など、月1回くらいの頻度で、いろいろなことをやっています。

公民館などで「てらこやラボ」を開催しながら、できれば常設の場所で活動できるようになりたいと思っていました。2013年に趣旨に賛同してくれる家主さんに出会い、今年から常設の「てらこやラボ」をオープンできることになりました。場所はさいたま新都心で、広いお庭のある戸建です。

ここで目指すのは、「子どもも大人も自分らしくあり、育ちあえる」居場所。地域のいろいろな大人が、得意なことをいかして子どもにかかわり、みんなで子どもたちを見守り・はぐくむ環境づくりがしたいと思っています。それから、広いお庭を活かして、子ども主体のコミュニティガーデンづくりをしたいですね。子どもたちは、自分たちで考え、間違えたり失敗したりしながら問題を解決する体験ができます。

-泉さんのすばらしい行動力の秘密は何でしょう?
「3年続ければどうにかなる」ということでしょうか(笑) 新しいことを始めるときは、動かないものを押しているような気がするのですが、あきらめずに思い続け、行動し続け、発信し続けていれば、経験が増え、ネットワークができます。それが次の一歩を進める力になるのです。

<泉 真帆さんプロフィール>
1974年宮崎県生まれ、さいたま市在住。大学卒業後、システムエンジニアとして通算2年勤務した後、退職して自然とかかわる仕事をめざしてガーデンデザインを学ぶ。その後、造園建築工務店でガーデンデザイナーとして経験を積み、妊娠・出産を経て2008年に独立。小さなスペースを活用する「小庭カフェ」など、顧客の気持ちをくみつつ庭づくりを実現する、きめ細かい提案が好評。また、2013年末から「てらこやラボ新都心」企画メンバーとしても活動スタート。小学生の放課後の居場所と地域の大人がかかわれるコミュニティスペースづくりに取り組み中。
※2014年2月時点での情報です


<泉真帆さんイチオシ情報>
◆小学生の放課後の居場所&コミュニティスペース「てらこやラボ新都心」
http://www.facebook.com/terakoyalab
公式サイト http://terakoya-labo.org/ (2014年3月オープン予定)
子どもたちが地域の素敵な大人と一緒に、好奇心いっぱいで取り組める体験型プログラム/ミニプレーパークを企画中。参加してみたいお子さん、講師・リーダー・ボランティアスタッフさんも募集中です!最新情報はFacebookページでご覧ください。
運営資金をクラウドファンディング「Ready For?」で募っています!
https://readyfor.jp/projects/terakoyalabo(受付期間2014年1月27日~60日間)
◆ナチュラルガーデニング&エクステリア「(株)テラス木蓮」
http://garden-cafe.net/
ふつうの家の門・塀・車庫わきの小さなスペースでも、いのちや自然とつながる体験はできます。新築エクステリア・リフォームガーデン・おうちカフェなど、お気軽にご相談ください。

<インタビューを終えて>
泉さんは、いつも静かなトーンで話されるのですが、不思議に力を感じます。今回、インタビューさせていただいて、その力の源泉が少しわかった気になりました。自然に触れる体験から培ったものを明確に意識し、それを次の世代である子どもたちにも持ってほしいという強い思いがあるのですね。愛読書は、レイチェル・カーソンの『センス・オブ・ワンダー』だそう。「知識は感じることの後で良い」という言葉や、心を静めて声なきものを感じる能力の大切さは、泉さん自身のポリシーでもある、とお聞きして納得しました。経営者として、「楽しくやること」「収支」「社会貢献」の3つを成り立たせていきたいともおっしゃる姿勢に頭が下がります。「テラス木蓮」はもちろん、これから本格稼働する「てらこやラボ」応援しています!(古川晶子)

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