Vol.33 新井利夫さん|障害福祉サービス事業所Kauri café&Factory目標工賃達成指導員

埼玉県伊奈町にある、Kauri café&Factoryで支援員として働いている新井さん。旅行会社にお勤めの時に発症した心の病と向き合いながら転職を重ね、現在は福祉の仕事にチャレンジされています。病気と向き合いながら、その変化にどのように対応してこられたのか、そして、今後どのように過ごしていきたいと考えているか・・・お話を伺いました。
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―café&Factory Kauriはどういう場所ですか?
障害者手帳をお持ちの方や、心の病で通院治療中の方を対象とした、障害福祉サービス事業所で、作業所とカフェを併設しています。作業所の仕事内容は、データ入力やボールペンの組み立て作業など、一般企業からの受託作業の他に、オリジナルの作品として、ひょうたんライトやヒンメリ、木工作品の制作など企画・ワークショップ・販売を行っています。カフェの方は、テイクアウトのドリンクや焼き菓子販売、オーガニック食品の販売などです。

―新井さんのここでの仕事内容はどういうものですか?
利用者さんと一緒に作業しながら、必要な時にサポートしていく仕事が中心です。関連して、利用者さんが制作した商品を一人でも多くの方に手にとっていただけるよう、イベントやピアショップへの出店を企画し、カフェの広報もやっています。また、障害があってもなくてもお互いに相手を尊重し、居心地の良い空間づくりをするのも大切な役割で、利用者さんやスタッフと良い関係性を築き、チームワークで就労支援を行うようつとめています。
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―福祉の仕事に就かれるまでのことを教えてください。
旅行関係の専門学校を卒業後、昭和60年に長野で旅行会社に就職しました。旅行業はとてもハードな業務で、企画や添乗などの業務を行っていました。その後、会社は変わりましたが、平成18年に心の病を発病するまでは、ずっと旅行会社に勤務していました。

―発病は突然だったのですか?
実は、それまでも睡眠が浅いなど兆候はあったのですが、自分をごまかしながら日々勤めていました。それが、ある案件で負担が増えたときに、過労のしわ寄せが一気にきてしまい睡眠が充分とれずに朝を迎える日が続きました。少し調子が悪いなとは思いつつも、「最後まで責任もってきちんとやりとげなければ」と頑張りすぎてしまいました。メンタルクリニックに通いはじめていましたが、自分の不調は、仕事をやり終えれば治るだろうと思っていました。しかし、実際には悪くなる一方で、結局、医師から自宅療養とデイケアをすすめられました。
当時の症状は、自暴自棄になることが多くなり、妄想や感情の起伏も激しい状態でした。それで、自宅療養しながらメンタルクリニックのデイケアに通うことになりました。勤めの方は、発病後1か月は休職しましたが、その後、週2回をデイケアで過ごし、残りの3日は勤務して、休日は休養にあてるという生活スタイルでした。そんな日々を続けていましたが、平成19年の5月には退職することになりました。
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―退職後はどのように過ごしておられたのですか?
メンタルクリニックのデイケアで芝崎(現Kauri café&Factory代表)との出会いがあり、支援者と利用者という垣根を越えて、良いお付き合いをしていました。あるとき、彼から「さいたま市市民活動サポートセンター」で仕事をしてみないか、という提案がありました。主治医にも相談して、このまま退職して刺激がない日々を過ごすより、働き続けた方がいいだろうという判断をもらい、平成19年10月から「さいたま市市民活動サポートセンター」で働くことになりました。1日6時間の勤務で、主に印刷機器を利用する方へのご案内を担当していました。そのほか、窓口のスタッフが足りない時は対応しました。長年、旅行業で接客サービスをしていたので、業務はいずれも苦ではなかったです。
一方で、自分の症状がなかなか把握できないことにつらさを感じていました。前と同じようにできるだろうと思っていたのですが、そうはいかず・・・例えば「短期記憶」ができなくなって、コピーを何枚頼まれたかが分からなくなるなど、よく物の紛失に悩まされました。それに身体に疲労感などの不調が続きました。そういう、自分が病気前と比べ、できなくなっていることが多くなり、その一つひとつに驚きがある中で仕事をしていたので、ほかのスタッフに迷惑をかけた事もあったかと思います。それでも、みんながフォローしてくれて勤めることができました。自分自身、この仕事を続けたいという強い気持ちがあり、まさに踏ん張りどころでした。自分の調子が掴めるようになったのは発病から2年経ったころで、そこからは、徐々に自分の体調がどのような状態の時に低下しやすいのか等を把握でき解決方法を考え、次第に回復していることを感じながら仕事をすることができました。
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―その後また大きな変化に見舞われたようですが・・・
サポートセンターでは、さいたま市からの「指定管理者」である団体のスタッフとして働いていましたが、平成28年3月で「指定管理」が終了したことで仕事がなくなり、また職探しをしなければならない状態になりました。心の病があると、こういう大きな変化は体調にも強く影響するので危ないところでした。3月に離職してから、4月から6月は「介護職員初任者」の研修を受けました。ちょうどその頃、芝崎から「会社を立ち上げるので、一緒に働きませんか」とお誘いを受けたんです。7月にはKauri café&Factory オープンを迎えたので、大きく間が空くことなく大変ありがたいことでした。

―これから、どんな風に働いていきたいと思われますか?
まずは障害福祉分野の知識や技術を身につけたいと思っています。長年福祉業界で働いてこられた職員さんを見ていると、自分は知識や技術がまだまだ足りないなと思っています。反面、別業界で仕事をしてきた経験を何か活かせないかと模索中です。イベントへの出店企画など、できることを確実に実行しながら、芝崎のように、熱い信念をもって、目標に向かって幅広く活動していきたいです。いつか、自分の住む岩槻でも、今やっていることを活かして、仕事ができればいいな、という夢もあります。
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<インタビューを終えて>
穏やかで柔らかい印象の新井さん。インタビュー中も始終笑顔でお話ししてくださいました。心の病と向き合いながら仕事をしていくことは本当に大変なことだったと思います。そういう中で恵まれたご縁がつながって今があるわけですが、新井さんの実直で穏やかなお人柄があるからこそ、今につながっているのだなと感じました。(森實摩利子)

<新井 利夫さんプロフィール>
昭和40年、さいたま市生まれ。さいたま市在住。旅行関係の専門学校卒業後、旅行会社に勤務。その後、特定非営利活動法人さいたまNPOセンターに勤めた後、現在はKauri café&Factory目標工賃達成指導員として勤務している。特技は歌う事。クラッシックなどの音楽鑑賞。カフェの運営のためにスイーツやコーヒー、健康食品などにも関心をもっている。

<新井利夫さんおすすめ情報>
障害福祉サービス事業所/就労継続支援B型Kauri(HP)
Kauri Café & Factory(twitter)
埼玉新都市交通線ニューシャトル伊奈町丸山駅より徒歩8分。
営業時間11:00~16:00 火曜~金曜(土・日・月・祝日はお休み)
※Kauriまでの道順は下記リンクを参照ください。
http://kauri.info/map/

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「桜エコフェスタ2016」出展
2016/11/27(日)Kauri Café & Factoryは、さいたま市桜環境センター主催「桜エコフェスタ2016」と同時開催の授産品見本市に出展します。当日は健康に抜群の効果・ノンカフェイン飲料「玄米珈琲」「タンポポコーヒー」、栄養価の高い「アンザックビスケット」やゴールデンシロップを使用した「ホッキーポッキークッキー」、クラフト商品「ひょうたんライト」などの展示販売を行います。添加物を一切使用せずにつくった珈琲・クッキーと、手作りでひとつひとつ収穫・制作した「ひょうたんライト」を是非一度手にとってお試しください。
●「桜エコフェスタ」ワークショップ:フィンランドの手工芸品「ヒンメリ」(有料)
11:00~ 13:00~ 各回3名様まで(先着順)
開催場所:2階3Rマーケットゾーン内kauri出展ブース